75話 アグリーがサマリーでマスト。
75話 アグリーがサマリーでマスト。
(自爆とか攻撃とかは絶対にムリか……じゃあ……最悪、召喚トリガーのIS由来プロトコル層に、ハイパーバイザ越しのサイドチャネルからインジェクト干渉をかけて、演算系のI/Oレイヤにループ系のエグゼ・ノイズ噛ませ、コア演算プロセスをスタック・デッドロックに持ち込めば……一時的に全系統を強制ハングできるか……いや、無理だ。最上位実行権は常時コスモゾーン側が保持してるし、そもそもあの領域は仮想サンドボックス単位で量子冗長化されてる。あの構造、たぶんIS-Σ型の干渉防壁が常時走ってる……つまり俺には指一本触れられねぇ。……くそ、どこまで理不尽に作り込んでやがるんだ、この世界。てか、それができたとしても、17番が死ぬ。そしたら俺も巻き添え。詰んでんじゃねぇか……この状況、マジで地獄だな、おい……)
何を言っているのかは、もちろん、一ミリも分からないけれど、
雰囲気から、モンジンの内部処理が、
どんどん物騒な方向に暴走しているのが伝わってくる。
(あと少しで無限再帰ループの爆弾コード書けるってところで、IDE閉じられた気分なんだよ……わかるか? この絶望感)
「わかるわけないよね? そっちも、わかると思って言ってないでしょ。比喩が限定的すぎるんだよ。別に知りたくもないけど……一応、聞いておこうか。IDEってなに?」
(IDEってのは『Integrated Development Environment』――統合開発環境の略称だ。コードを書いて、コンパイルして、実行して、バグを潰して……っていう開発の流れを、全部ひとつの環境で回せる便利ツール群のこと。Visual StudioとかEclipseが定番で、Java系ならIntelliJ IDEAも人気だったな。Visual Studio Codeも出てきてたけど、当時はまだ“高性能な軽量エディタ”って扱いで、純粋なIDEとはちょっと違ってた)
もう、マジで意味わからん。
IT関連の横文字をカッコイイと思っている風潮がしんどい……
ただの邪気眼の方がまだマシ……
意識高い理系の厨二とか、始末におえないよ……うぇっ
(開発者にとっては、作業場であり、実験室であり、戦場でもある。……まあ、そこで爆発するのは大体デバッグ中の自作コードだけどな)
まだなんか、ぶつぶつ言っている……
マッドな雰囲気がやばいな。
もし逆の立場だったら、
モンジンは絶対にボクを躊躇なく実験台にすると思う。
「モンジン、ちょ、いったんブレイクタイム! オッケーオッケー、マジで今、頭ん中で全部アサインしてるから! あとでエビデンスとかコンセンサスとか、ちゃんとコミットして、フィードバックもインストールするからさ! だから、もうこのトピック、クローズドで」
……別に、モンジンに対して悪意とか害意とかは、もちろんないんだけど、でも、まあ、『水』に関しては仕方ないってことで諦めてもらおう。
ボクのことを悪人みたいに思ってもらっても困る。
ボクは、善人ではないかもしれないけど、悪人ではない。
あくまでも普通の人間だ。
絶対に、『正義のヒーロー』ではないけど、
悪の組織から勧誘されたら、勇気を出して断るぐらいのことはできる。
倫理観は人並み。平均。
『誰かを助ける余裕はないけど、ゴミは分別して出す』くらいのラインにいると思ってほしいかな。
というわけで、お互いのためにも、モンジンには、今後も、数秒の痛みには耐えてもらう方向でいきます。
よろしくです。




