68話 届かない夢を追いかける惨めさ。
68話 届かない夢を追いかける惨めさ。
艶やかに舞うパリピーニャから目線を離せない。
足さばき、拳の軌道、髪の揺れ方、指先の角度――どれをとっても計算され尽くしたような洗練さがあって、
殴打の一つひとつが、まるでダンスの振り付けのように美しかった。
戦闘なのに、見惚れる。いや、戦闘だからこそ、美しいのかもしれない。
全然、戦闘に詳しくないから、偉そうに言うべきじゃないかもしれないけど……
『美人は三日で飽きる』とかいう格言があるけれど……あれ、流石に嘘だと思うんだよね。
三日は流石に短いよ。三日て。
この格言を最初に言いだした奴はセンスがないと言わざるをえないね。
多分、美女と縁がない非モテの童貞だったんだよ。しらんけど。
ちなみに、ダンジョン魔王は、
だいぶボコボコになっているけど、まだ心は折れていないようで、
まだ、必死に、何か呪文的な何かしらを唱えようとしている。
震えた唇が、うまく言葉を紡げずに空を切っていた。
その瞳の奥に宿る感情は分からないけど……執念とやらに見えなくもなかった。
……なんか、そういう姿勢だけは、ちょっと見習ってもいいかもしれないと思わなくもないけれど……でもなんだろうな……
健気で……けど、その分だけ憐れだ。
届かない夢を追いかけている姿を見ると、なんだか切なくなる。
高校球児とか見ると泣きたくなるんだよね。
感動の涙とかじゃない。
『なんで、そんな意味ないことを、必死こいてやっているんだろう』と泣きたくなるのだ。
だって、プロになれる訳でもないのに……
仮にプロになっても、大半は、道半ばで惨めに首を切られて路頭に迷うのに……
――そんな風に思ってしまう……
そして、実際のところは、別に、本当に泣きたいわけじゃない。
ただ、小ばかにしているだけ。
いや、本当のところは、小ばかにしているというわけですらなく、『ボクはそっち側じゃなくてよかった』と安堵しているだけだ。
ボクは、基本的に『叶わない夢』を本気で追ったりはしない。
届かない夢を、お星さまに願うことはあっても、そのために無意味な努力をしようとは決して思わない。
不相応の夢を抱くことが最大の不幸。
それが、この世界に存在する数少ない真理だ……
なんて、ボクが心の中で、自分の思想と向き合っていると、
モンジンが、ボクの『……とりあえず、そのコスモゾーンってのは、神様みたいなものって認識でいい?』という問いかけに応えてくれた。
(コスモゾーンを神認定しても、別にいいけど……でも、正直、俺は、コスモゾーンを神だとは思いたくない)




