46話 耐久カウンター型の魔王。
46話 耐久カウンター型の魔王。
正直、どんなに強いモンスターが出てきても、
パリピーニャなら、30秒ぐらいで倒せるだろう……
と、タカをくくっていた。
まさか、ボスが魔王とは……
なんて、ボクがブルブルと震えていると、
そこで、ボクの中にいるモンジンが、焦った感じで、ボソっと、
(……まずいな、あの魔王、耐久カウンター型だ)
「あ、あのさ、なんでわかるの? もしかして、モンジンって、眼力系の魔法がつかえる?」
(……魔法の力は全部失っている。あくまでも、あの魔王の動きを見た上での、『意味記憶(知識)』を総動員した上での予測だ。存在値は500前後。現闘ランクは『俺的1000段階評定』中の『7』ぐらい。魔力の揺らぎは静。オーラの質は陰。属性は水精黄昏。……あらゆる観点から推察するに、『じっくりと、相手の動きをみて、攻撃に耐えつつ、スキをみて、適度に攻撃をしかけてくるタッチアンドアウェイ式』の魔王。パリピーニャとの相性で言えば……最悪だ。とはいえ、タイムリミットを計算に入れると、パリピーニャ以外じゃ押しきれねぇ)
魔王は『体力がエグい』って話もよく聞く。
膨大な生命力と無尽蔵の魔力……それが、魔王の特質の一つ。
その上で、耐久カウンター型となったら……たとえ、火力特化のパリピーニャでも、なかなか殺しきれないのは明白。
……みたいな感じで、ボクとモンジンが、オロオロしていると、
そこで、魔王が玉座からゆっくりと立ち上がった。
そして、優雅に、首をコキコキっとならしてから、
パチンと指をならす。
すると、玉座がスゥっと地面にとけていった。
「私のダンジョンを荒らす者よ……覚悟はいいな」
簡素な言葉で威圧をかけてくる魔王。
その強い覇気を前にして、ボクはションベンをちびりそうになった。
魔王を召喚できるようになったことで、最近、多少は『魔王の圧』に耐性が出来てきたかなぁ、なんて思っていたけれど、全然そんなことはなかった。
「死ね」
またもや簡素な殺戮宣言。
その直後、
ドンッ!
と、地面を強く蹴るようにして突進してきた。
ほとんど反射の速度で、モンジンがパリピーニャを召喚する。
現れたパリピーニャは、爆速で突進してくる魔王と正面からガツゥンと盛大に衝突。
パリピーニャに動きを止められた魔王は、一瞬、目を丸くして、距離を取りつつ、
「信じられない……貴様、魔王を使役できるのか……」
その疑問に律儀に答えているヒマはない……とばかりに、パリピーニャは問答無用で、魔王に襲い掛かる。




