44話 ウルトラインセクト。
44話 ウルトラインセクト。
その5体を見たモンジンが、
(エルダーワンダーナイト2体に、タイタンパペット2体に……あっちは……ん? 『ネオカマキリ』か? なんで、ここにきて、『下級』のネオカマキリが? エルダーも、タイタンも最上級なのに……)
エルダーとタイタンは、ここに来るまでの間に何度か見ている……けど、あっちの、でかいカマキリは、一度も見ていない。
下級……らしいけど、威圧感的なものは、別に、そこまで変わらない気がする。
見た目は確かに、エルダーとタイタンより簡素でザコっぽいけど。
殺気の圧力的には……差がない気がしないでもない……あくまでも、雰囲気だけの話だけれど……
なんて思っていると、モンジンが、
(……ぁ、いや、あのネオカマキリ、普通の個体と、ちょっと顔つきが違うな……おそらく、『ネオカマキリ・ウルトラインセクト』だな。……んー、こいつは、また、珍しいものを見たな。……『ウルトラインセクト化した虫モンスター』なんて、なかなかお目にかかれないぞ)
どうやら、龍種と虫種のモンスターは、『特殊進化』をすることができるらしい。
特殊進化を果たすと、下級の個体であっても、『最上級』以上の力を得られるんだと。
その話が本当かどうか知らないけど、
仮に本当だとしたら……マジで、モンジン、モンスターに詳しいな。
それだけ、細かい『意味記憶』を覚えていながら、
『エピソード記憶』の方は完全になくすとか……そんなことあるものなのかな。
なんてことを思っていると、
そこで、5体のモンスターが一斉に襲い掛かってきた。
存在値100以上のモンスター5体の連携……
地下迷宮研究会のフルメンバーでも、この構成にあたったら、全滅する可能性があるかも……
そんなレベルのドリームモンスターチームを、
ウチのパリピーニャさんは、
ザザザザザッ!!
と、ブーメランでスライムを一掃するように、
秒で片付けあそばされて、優雅におかえりあそばされた。
……魔王、マジでチート。
こうして、魔王の強さをジックリ目の当りにすると、『自分のヤバさ』がギュンと身に染みる。
5体のモンスターが消えたところで、
奥の壁に、スゥっと、浮かび上がるように、『大きな扉』が出現した。
どうやら、モンスターを倒すと、この広い空間の外に出られる仕様になっていたらしい。
……時間経過で出現したのかもしれないけど。
その辺の細かいところは、まあ、マジでどうでもいい。
……とにかく、現状、扉が一つしかないので、悩むこともできない。
慎重に、ボクは扉を開いた。




