40話 ボクは何回死ねばいいんだろう。
40話 ボクは何回死ねばいいんだろう。
(迷宮の規模が分からないうちは、無茶をするなよ)
「そうだね。じゃあ……一応、今日のところは、ちょうど半分の『2分30秒』を切ったら戻る……っていう感じにしようか」
(ああ、その方がいいだろう)
モンジンと相談しながら、
階段をおりて、地下2階へ進む。
★
地下2階も、構造そのものは変わりばえしなかった。
まったく同じ色味&質感の石造り。
違ったのは、出てくるモンスターの質。
「モンジン……あれは?」
(ダークナイトだな……悪魔種の上級モンスター。存在値は80前後)
モンジンも、なんだかんだ便利だな。
……まあ、本当のこと言っているかどうか、判別しようがないけどね。
「出てくるモンスターのランクが、中級から上級に上がったね……存在値80か……もはや上位貴族級……」
(気をつけろ、17番。不意打ちで死ぬなよ。油断して死んだら殺すからな。決死の覚悟で、死んでも殺せ)
「ボクは何回死ねばいいんだろう」
などと思っていると、
ダークナイトが、黒い炎を出して、ボクに投げつけてきた。
ほぼ反射で、パリピーニャを召喚。
パリピーニャは、投げつけられた『黒い炎』を風圧だけで吹っ飛ばし、勢いそのまま、ダークナイトの顔面に爆速の膝をぶち込んでいく。
一瞬でダークナイトを消し炭にすると、
そのまま、艶やかにシュンと消え去る。
……時間節約のことを考えてくれるのは非常にありがたいんだけど、
できれば、もっと、その美しい姿を見つめていたかった。
タイムリミットは、残り4分30秒。
「この感じだったら、だいぶ下まで潜れそうかな……」
(となってくると、問題は、地下何階まであるか……だな)
「地下1000階まであります。とかは流石に言わないよね」
(いや、どうだろうなぁ……なんか、その手のえぐい『絶望の可能性』に強い既視感がある……俺は、もしかしら、それよりも酷い絶望と向き合い続けてきたのかもしれん……知らんけど)
などと話しながら進んでいる間にも、モンスターは頻繁に沸いて出た。
モンジンいわく、どれもこれも、ダークナイトと同じぐらいのランクらしい。
存在値100が、こんなにポンポン出てくるって、本当に、この地下迷宮はいかれている。
出てくる敵の強さには驚かされるけど、
『モンスターが出てくる』という事に関してだけは、正直ちょっとありがたかった。
なんせ、そのたびに、パリピーニャの艶姿を拝めるからね。
ありがたや、ありがたや。
揺れる、揺れる。
何がとは言わないけれど。




