19話 客人。
19話 客人。
《雅暦1001年7月11日》
ボクの名前は猿の17番。
最近、小金持ちになって、『S1』にランクアップした奴隷だ。
「いい天気ですね、先輩」
この能天気美少年は蛇の9番。
同じ飼い主ポルに飼われている後輩奴隷。
こいつも、最近、小金持ちになって『S1』にランクアップしている。
Sランクの奴隷は、飼い主と『休日に関して交渉する権利』を得る。
奴隷の休みは、『女神法で決まっていること』なのだが、基本、週に1回。
だが、S級になって、飼い主と交渉すれば、週2回以上休むことができるようになるのだ。
交渉できる権利があるとはいえ、基本的に週2の休みを勝ち取るのは至難の業。
だが、去勢してからのオッサンは、『仕事に対する意欲』が以前よりもはるかに低下しているので、『ボクと9番の分二人合わせて100万』を払うだけで、完全週休二日を承諾してくれた。
以前は、ボクが休みの日もバリバリ働いていたオッサンだが、これを機会に、自分も週に2日は休むようにするとのこと。
……やる気なくしすぎだろ。
まあ『どうしても女の奴隷が欲しい』という性欲処理目的のためだけに頑張っていたオッサンだから、去勢された今となっては、やる気を失うのも当然と言えば当然か。
★
――というわけで、今日は休みの日。
9番と一緒に、朝から、馬小屋の寝床に転がって、ボォっと怠惰に過ごしつつ、
『さて、今後、どうやって成り上がっていこうか……』
と、じっくり考えていると、
「……ん?」
「どうしました、先輩」
「……誰か来た」
奴隷のボクらに用がある人間など基本いないし、
オッサンも友人が少ないので、基本、ウチの家は、尋ねてくる人が少ない。
『客人』を珍しがって観察してみると、
「……ん、あの女は……」
見覚えがあった。
この前、ボクがウルベ卿に腕を切られた時……一緒にいた、黒髪翠眼の女従者。
その後ろには、ボクと同年代ぐらいの奴隷ヤンキーが一人。
距離が近くなったことで、向こうも、ボクに気づいたようで、
「あんた……この前、ウルベ卿に腕を切られた奴隷のガキ……」
「ど、どうもぉ。お久しぶりですぅ……っていうほど、時間はたっていませんかねぇ」
などと挨拶しつつ、
ボクは寝床から起き上がって、
揉み手しつつ、
「えっと……ウチのポル様に何か御用で?」
「……『猿の17番』は……あんたか? それとも、そっち?」
「猿の17番は、ボクですねぇ。え、もしかして、ボクに何か御用で? ……また、ボク、何かやっちゃいました?」




