13話 ラストローズ辺境伯視点。
13話 ラストローズ辺境伯視点。
私の名はラストローズ。
辺境伯の地位についている貴族だ。
……私は、『猿の17番』が、『魔王事件の主犯である可能性』を示唆したが……
その推論は、普通に間違っていたかもしれない。
さきほど、猿の17番と話してみて、ハッキリわかったのだが、
彼は、まぎれもなく凡庸な奴隷だ。
『特別優れた点』は一切なく、際立った野心や悪意というものも、まったく持ち合わせていない。
――『彼が特別な力を持ち、その力でもって、魔王を屈服させ使役している』という可能性は……限りなくゼロに近い。
というか、まあ、普通にゼロだろう。
ありえない。
『麻痺攻撃が出来るゴブリン』に関しても……
自分自身で、攻撃を受けてみると、
『特別大きな力を持っている』ようには感じなかった。
動きも、パワーも、一般的なゴブリンのソレとなんら変わらなかった。
多少、そこらのゴブリンよりも『動き』にキレがあるように思わなくもなかったが……『その程度の個体差』は特別視するほどのものでもない。
麻痺の程度も……あのレベルのゴブリンにしては、えらくハイスペックだったが……
そのぐらいの上振れは、誰にでも起こりえる範囲のものだろう。
あの麻痺……奴隷同士の闘いでは、非常に有用な力だが……格上相手には、そこまで通用しない程度。
総合的に分析した結果……
『あのゴブリンに特異な力を感じたのは、疑心暗鬼に陥った私の曇った目が、ありもしない錯覚を幻視しただけ』
だと結論づけられる。
……と、そこで、
所用で外していたカルシーン伯爵が、
「失礼します」
貴賓室に入ってきて、
「申し訳ありません。少し手間取ってしまい、遅れてしまいました」
「気にする必要はないよ。……公務、ご苦労様」
と、一度、ねぎらってから、
「ついさっき、猿の17番と話をしたよ」
「なるほど。それで、いかがでしたか?」
「彼は小物だ。凡庸な奴隷にすぎない。『彼が魔王を使役しているかもしれない』という私の推測は……君が言う通り、突飛な妄想に過ぎなかった……と、個人的には結論づけた」
「……閣下の御推察を、突飛な妄想などと言ってしまい、大変失礼いたし――」
「頭を下げる必要はないよ。あなたは、私に、『推論が飛躍しすぎているのではないか』と進言してくれただけだ」
「寛大な御言葉、感謝いたします」
そこで、カルシーン伯爵は頭を上げて、
「それで、閣下……今回の『魔王問題』に関しては、いかがいたしますか?」
「現状だと判断が難しい。魔王が結界内に入ることは出来ない……と思うのだが、あなたの魔法でも治療できないバラモウイルスというのは見過ごせない。いったん持ち帰って、『パメラノコット公爵』の指示をあおごうと思う」
パメラノコット公爵は、『中周全域の統治者』で、私の『直属の上役』にあたる御方。
『傑出した才能を持つ私』は、すでに、存在値で言えば、パメラノコット公爵を超えているが、『御年500歳』を超えているパメラノコット公爵は、若造の私よりも深い知見と冷静な判断力を持ち合わせている、心から尊敬できる人生の先輩であり、私の正式な『師匠・先生』でもある。
パメラノ先生からは、『わしに頼るな。自分の力で道を切り開け。それが次期大公となる者の責務である』と厳しく指導を受けてきた。
『ラストローズよ……【外周】で起きた問題は、すべて、ぬしが、責任をもって処理するように。わしは一切、手を貸さん。よいな』
と、パメラノ先生から、厳格に命令されてはいるが、
しかし、『魔王問題』は流石に話が別だ。
本当に、魔王が、都市内部に入り込んでいるのだとすれば、外周だけの問題ではない。
中周も、内周も関係なく、人類総出でコトにあたらなければいけない未曽有の大災害。
「……『魔王が絡んだ問題』ゆえ、流石に、今回ばかりは、『先生に頼ったから』といって、叱られることはないと思うが……」
ぶつぶつと、不安を口にしつつ、
私は、パメラノ先生のもとへと向かった。
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名前『パメラノコット』
メインクラス『エレメントカーディナル』
『大魔導士』
サブクラス 『ホーリーワイズマン』
『Lジェネラル』
・称号『貴族(公爵)』
《レベル》 【115】
[HP] 【6200】
[MP] 【23000】
「攻撃力」 【25】
「魔法攻撃力」 【110】
「防御力」 【78】
「魔法防御力」 【109】
「敏捷性」 【59】
「耐性値」 【153】
「魔力回復力」 【520】
「反応速度」 【38】
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