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3話 上からの命令。


 3話 上からの命令。


 ――寝室を後にしたゴートが、後ろ手に扉をしめたところで、

 右斜め前にある柱の影から、一人の女がヌゥっと現れて、


「上からの命令を伝える」


 たんたんと、事務的に、


「あんたとフーマーの上層部を繋ぐ道をつくった。まもなく、接触してくるだろう。内側から世界をコントロールし、頃合いをみて、黒幕として大暴れせよ。以上」


 命令を受けると、ゴートは、

 少し大げさに、うやうやしさを演出しながら、


「アイ、マァム」


 と、返事をしつつ、


(予定通りの展開……俺は、このまま、エレガの思惑通り、世界を乱す歯車になる……その中で、うまく、上に、俺の有能性をアピールして、天国に近づく……)


 ゴート・ラムド・セノワールの道は非常に単純。

 ゼノリカの思惑に乗っかりながら、エレガに近づく道を模索する。


 ※ ゴートの中における『ゼノリカ』は、エレガによって騙されている組織。『世界を乱すラムド』という『悪』を作る為だけに利用されている可哀そうな組織。

 ゼノリカは、エレガのオモチャだが、しかし、ゼノリカに属する者は、騙されているだけで、悪に分類される者たちではなく、真剣に高次の合理を追求している気高い連中。だから、ゴートは、ゼノリカを解放するためにも、エレガの暗殺を求めている。



(エレガを暗殺し、UV1を……ゼノリカを解放し、俺の下につける。バロールも、その上の連中も、みんな俺が面倒をみてやる。俺が、本物のセンエースになるんだ……)



 ――ゴートが決意をあらたにしていると、

 そこで、UV1が、



「バロール猊下は、あんたに対し、『この世界に、理知的な混沌をもたらせ』と命じられた。あんたは、与えられた役割を忠実に果たしていると思う」


 そこまでは、たんたんとそう言ったが、そこで口をモニョモニョとさせた。


 ゴートが、


「……?」


 ハテナ顔を浮かべて、UV1の目を見た。

 『どういったものか』という顔をしているUV1は、

 そこからも、また、少しだけ迷ってから、ゆっくりと口を開く。


「……だけれど、リーンを、あそこまで『たらしこめ』とは誰も言っていないのだけれど?」


 そんな事を言ってきた。

 『UV1の言いたい事』を正確に把握したゴートは、少しだけ目を泳がせて、


「もっとも効率的な手段をとっているだけです」


 と言いながら、頭の中では、


(惚れた女を抱いているだけです……とは言えんわな。まあ、でも、別に問題はない。俺とリーンの戦争は、しょせん、マッチポンプ。『外』に向けての『その辺』は、テキトーにうまくやるさ)


 悪になったゴートと、それに対抗するリーン。

 世界を巻き込んだ大問題の解決による進化。


 そんなものは起こらない。


 そこに至る前に、エレガがフッキを発動させる。

 つまり、


(……結局のところ、大事な命題は、フッキの停止。そこさえ達成できれば、あとは、どうとでもなる。というか、俺がどうにかする。全部、きちんと、うまくやってやる)


 錯綜する思惑と、不確定な感情。

 全てが複雑に絡み合って出来あがった一本の糸。


 だが、複雑に絡まり過ぎて、結果的には、単純なヒモになった。


(ようするに、俺が要ってことだ。必ず全部達成してやる。そして、世界を救ってみせる。ヒーローになってみせる)



 ――ゴートの言い訳を聞いたUV1は、溜息交じりに言う。


「……効率的な手段ねぇ……まあ、いい。あんたには在る程度の自由が許されている。好きにすればいい。……ただし、いつも、私に視られているという事を忘れるな」


 そう言って、UV1は、影に帰っていった。


(もちろん、忘れていない。だが、今の俺なら、あなたの目を回避する手段はいくらでも――ん)


 ちょうど、それと同じタイミングで、


「テプ0時をすぎたよぉ!」



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
こいつセンエースのくせに童貞捨てやがった! あと見られてるの自覚してるのに行為に及んでるってなかなかの精神力ですね。
[良い点] この回、小4の俺は気付きませんでした。 抱くの意味...まさかゴートが、あのセンエースが......小4でも、ドーテーの意味は知っていて、尚且つ、センからマジでそう言う雰囲気になるシチュ…
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