98話 今回は、記憶と力だけじゃなく……
98話 今回は、記憶と力だけじゃなく……
「また、この感じ! 記憶が消えていく、このウザい感じ! やめろ、蝉原! ふざけんなよ! 前回のショデヒの時に、記憶を取り戻すのに、200兆年もかけたんだぞ! それなのに、数時間もしないうちに没収って! なんだ、この賽の河原!! お前、俺になんの恨みがあるってんだぁあああ!!」
「あなたは、だんだん、ねむくなーる、ねむくなーる……ついでに、記憶もうすくなーる」
「やめろっつってんだ! お前、あの……ああ! おい! えぐいてぇええ! お前の名前を忘れたぁ! それは、お前的にいいのか?!」
「大親友の俺を忘れるだなんて、酷いじゃないか、センくん」
「ぎにぃいい!! ……ぐっ」
普通にキレそうになったが、なんとか、自分をいさめて、
「そ、そうだ……無二の大親友であるお前を忘れるなんて、そんなことは許されない。というわけで、お願いだ……せ、せ……瀬戸……俺から記憶を奪うのはやめてくれ」
「今回は、力と記憶だけじゃないよ。その2つを奪われるってのは、さんざん経験してきただろう? だから、今回は『体』も奪わせてもらう。これで、本格的に、君は何もできない」
「……俺、そんなに恨まれるようなことしました? もう覚えてないから、正確なことは何も言えんけど……俺、なんだかんだ、お前と仲良くやってた印象があるんですけど……」
「仲良くやっていたさ。俺は、君のことをとても大事な存在だと思っている。なのに……名前を忘れるだなんてひどいやっ! そんな親友、修正してやる!」
「……」
「まあ、ファントムトークはこのへんにしようか。……どうだい、記憶の方は。今回は、ガッツリと削ったから、自分の名前も思い出せないと思うんだけど」
「……私はどこ……ここはだれ……」
「あれ? まだボケれる余裕があるの? すごいね」
「余裕があるんじゃねぇよ。現実逃避しているだけだ……もう、ヤダ……マジで、自分が誰かも分からない……何を忘れたのかも忘れた……俺、誰だっけ……なんか、大事な使命とか仕事とかがあった気がするのに……1ミリも思い出せない……ツラ……」
「言語機能とか、一般常識とか、神関連のアレコレとか……あと、ファントム関連の知識は残しておいてあげるよ。よかったね、センくん」
「……セン……俺の名前か? 俺、そんなんだっけ? もっと、重厚感のある名前だったような気がするんだが……」
死んだ目の、小さな声で、そうつぶやくセンに、
蝉原は、ニッコニコの笑顔を向けて、
「ショデヒ騒動の時は、『100極ポイントを集める』というのが、記憶を取り戻す条件だったけど、今回は、かなり簡単にしておくよ」




