75話 舞い散る閃光の『負の部分』を煮詰めた覚醒。
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本日の7話目。
75話 舞い散る閃光の『負の部分』を煮詰めた覚醒。
「CPUとしてのスペックだけを残したソウルレリーフになってもらう。ようするには……死んでもらう」
「おい、蝉原ぁ! やめろぉお!」
瞬間湯沸かし器的に秒でブチ切れたセンキー。
セミガニャルとの距離を一瞬でつめて、
「閃拳!!!」
本気の拳をぶちこんでいく。
『センキーとの闘い』だけに没頭させようと、心を込めてぶん殴る。
そんなセンキーの一撃を、豊潤なワインでも味わうように、楽しんでから、
セミガニャルは、
「もう、終わったよ……センくん。俺が取り込んだ田中たちは、漏れなく全員殺した。今、俺の中でCPUとして稼働しているのは……意志を排除したソウルレリーフだ」
「……」
「気にすることはないだろう? 君が言う通り、今、俺が殺した田中たちは、君にとって、『嫌いな知人の親戚』でしかない。救えなかったからといって、気に病むことなんて一つもないよ」
「気にしてなんかねぇよ」
「そうかい? その割に、顔が怖いけれど?」
「腹が立っているからな」
「気にしていないんじゃないのかい?」
「トウシの親戚が死んだことはどうでもいい……俺が、今、腹をたてている理由は」
「理由は?」
「…………………………とくにねぇよ」
そう言ってから、
センキーは、グっと奥歯をかみしめた。
深部で膨らむ黒い感情が轟々と燃えていく。
その黒い感情が、龍のように、蛇のように、センエースの全部を包み込んだ……
……結果、
「――真醒・殺戮運命神化 破道混沌/黒蛇邪気眼――」
センキーの中で、一つの覚醒が起こる。
深い怒りの感情だけをトリガーとして、
膨大に膨れ上がる力は、あまりにも禍々しい。
その歪な力の波動を前にして、
セミガニャルは、額に汗を浮かばせて、
「凄まじい力。舞い散る閃光の『負の部分』を煮詰めた覚醒。……こわいねぇ……逃げ出したいよ」
「蝉原……お前、さっきから、ずっと、こそこそ、俺から、『輝木の翼』を回収しようとしているな」
「……」
「バレないように、色々と目くらましやフェイクを交えつつ……ご苦労さん」
「めちゃくちゃ慎重にやっていたのに……よくわかったね」
「俺、今、感度ビンビンなんだよね」
「ふふ、そうかい」
力なく微笑んでから、
「バレるわけがないと思っていたから、今の俺は、普通に、青ざめているよ。泣きそうだ」
「ずっと裏で、サンスクリットアライブをフル稼働させていたようだが……届かないぞ。もう、お前の悪意では俺の怒りを超えられない」
「超えられると思ったことなんかないけどね」
そう言いながら、セミガニャルは、心の中で、舌打ちしつつ、
(俺のセン君に対する愛情が、『輝木の愛情』に負けているとは一ミリも思わない。けど……コレを奪い取るのは、どう考えても無理だな。輝木のやつ……センくんのコアにしがみついて離さない……そして、センくん自身も、輝木を抱きしめて離さない……どうしたら……)




