74話 なんで、この場で一番苦しんでいる俺が、めちゃめちゃ他人のお前らを、助けないといけないんだ。社会をナメんなよ。
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本日の6話目。
74話 なんで、この場で一番苦しんでいる俺が、めちゃめちゃ他人のお前らを、助けないといけないんだ。社会をナメんなよ。
蝉原が得意としている必殺の一撃が、センキーの顎に炸裂。センキーを浮かせたセミガニャルは、ここぞとばかりに、華麗なる殺神拳の連打をぶちこんでいく。トウシというCPUを失った今のセンキーに勝ち目はゼロだった。ボッコボコにされている中で、センキーは、
『『『『『『『『……助けて……』』』』』』』』
セミガニャルの中にいるタナカたちから、無数のSOS念波を感じとる。
どうやら、セミガニャルの拳に『念』を乗せて、メッセージを送ってきている様子。
『たすけて』『どうか助けて』『苦しい』
膨大な量の念波を送られて、普通にイラっとするセン。
セミガニャルに殴られて、その痛みがハンパなくて、それだけでも泣きそうなのに、
拳の痛みに乗せて『助けろ』『助けろ』と脳内で連呼されてしまえば、
そりゃ、当然、腹が立つというもの。
「ふざけんな、ゴミどもぉ……助けてほしいのはこっちだぜ。てめぇらがどんだけ苦しんでいるか知らんけど、ご覧の通り、俺の方がボッコボコにされていて、絶対に、俺の方が苦しんでいる。なのに、なんで、この場で一番苦しんでいる俺が、めちゃめちゃ他人のお前らを、助けないといけないんだ。社会をナメんなよ。ハッキリ言っておくが、お前らは、俺にとって、『嫌いな知人の親戚』だからな。助ける義理なんて、マジで一ミリもねぇんだよ。むしろ、率先して不幸になってもらいたい! 『交通事故に遭ってほしい』とまでは思わんが……『大事な受験の日に電車が遅れて浪人生活に突入してしまう』ぐらいの不幸には遭ってほしい!」
「とかなんとか言っているわりに……また、あれこれ、田中家一同を救うために、いろいろと考えているように見えるんだけれど、それは気のせいかな?」
「気のせいに決まってんだろ。俺をナメんなよ」
「誰もナメちゃいないよ。君をナメられる者なんて存在しえない。君をナメるバカを見つけたら、俺が率先してぶんなぐるよ」
「お前はどういうスタンスなんだ……」
「君に対する警戒心と愛情が、俺に無茶をさせる。ここ最近はずっとそう。俺の狂い方を……その愛を……君にも愛してほしいと思っている」
などと、意味不明なことを供述しつつ、
セミガニャルは、自分の腹部に、右腕をブスっと突っ込んでいく。
そして、自分の『中身』をぐちゃぐちゃにかき混ぜて、
「システムとしての機能は確立させた。連結思考の接続は、オートでも問題なく機能している。もう田中どもの意志や感情は必要ない。残しておいた方が『ブーストがつく場合』が多々あるけど……それよりも、俺とセンくんの感情を優先させる。だから、田中たちには、CPUとしてのスペックだけを残したソウルレリーフになってもらう。ようするには……死んでもらう」
「おい、蝉原ぁ! やめろぉお!」
瞬間湯沸かし器的に秒でブチ切れたセンキー。




