73話 ちょ、おい!! お前の支援がないと、俺、ダメだって! 俺は、もう、お前がいないとダメな体になっているんだって!
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本日の5話目。
73話 ちょ、おい!! お前の支援がないと、俺、ダメだって! 俺は、もう、お前がいないとダメな体になっているんだって!
コンマ数秒の中で、散々悩んだ結果、トウシは、
(悪いが、セン……あとは、独りでやってくれ。ここから先は、お前だけのオンステージでよろしく)
(ははっ、またまた御冗談を。相手のCPUは、『一族総出の田中家御一考』だぞ。俺一人で相手になるわけねぇだろ)
(いける、いける。お前なら)
(根拠を言えぇえええ!!)
(とにかく、ワシは、自分のやるべきことで手一杯やから、マジで、セミガニャルの相手は、任せた)
そう言うと、トウシは、センキーの最奥に閉じこもり、完全に心を閉ざしてしまった。
だから、センが、いくら、
(おい! おいいいいいい! シャレにならんてぇえええ! え、マジぃいいい?! あ、ほんとに、あのバカ、精神を切り離していやがる! ちょ、おい!! お前の支援がないと、俺、ダメだって! 俺は、もう、お前がいないとダメな体になっているんだって! お前無しの人生なんて考えられない! お前がいることによる実家のような安心感! お前に頼りっきりになることの多幸感! 一度味わってしまえば、もう元には戻れ――って、うわっ……めちゃくちゃ、俺弱くなっているって! ギャグかましている場合じゃないって! やばいって! 死ぬって!!)
トウシが支援しなくなった瞬間、
『センキーの戦闘力』が面白いぐらいガクっと堕ちた。
そのことに、セミガニャルは一瞬で気づく。
達人同士の闘いでは、些細な所作で全てに気づける。
「極端に動きが鈍くなったね。……何かの作戦かな? それとも……なにかトラブルかな?」
「さ、さ、さ、作戦に決まってんだろ! 今回の俺の作戦はやばいぞ! その名も、『弱くなったふりをして、お前のスキをつこう大作戦』だ! 俺の演技に騙され、ここぞとばかりに攻めてきたお前に、特大のカウンターをぶちこむ作戦! どうだ、怖いだろう! だから、近づくなよ! 押すなよ! 絶対に押すなよ!!」
「……『ハッタリ感を過剰に演出することで、本当の作戦だと思わせるという奇策』……を必死に演出しすぎているところから……作戦ではなく、トラブルである可能性がかなり高いね」
「……っ」
「何があったのか知らないけど……ここはチャンスと踏んで押し通させてもらう。一切、容赦はしない。できることは全部やる。そうじゃないと……君には届かない」
そう言ってから突撃をブチかましてきたセミガニャル。
丁寧に積み重ねてきた武が、イスタナカシステムのサポートを受けて、華麗に舞う。
圧倒的な武を前にして、センキーは、
「ぶひぃいい! ぶひぃいい!」
いつものように、『おろされる前の豚』が如く、冷や汗と涙と鼻水で濡れた顔をブン回すのみ。
「殺神覇龍拳!!」
蝉原が得意としている必殺の一撃が、センキーの顎に炸裂。
頭では避けようとしたが、体が重すぎて、まったくまともに反応できなかった。
センキーを浮かせたセミガニャルは、ここぞとばかりに、華麗なる殺神拳の連打をぶちこんでいく。
トウシというCPUを失った今のセンキーに勝ち目はゼロだった。
ボッコボコにされている中で、
センキーは、
『『『『『『『『……助けて……』』』』』』』』
セミガニャルの中にいるタナカたちから、
無数のSOS念波を感じとる。




