72話 呑気に助けを求めるんじゃなく、自分で助かるために動けや、ボケぇえええ! 俺は、お前らのお母さんじゃねぇんだよぉおおおお!
自作コミカライズ版30話配信中!
『さいごのまおうのせかい』の投稿記念として、今回は無料配信中!
(※下のリンクから、直接30話をダウンロードできるページに飛べるようにしてあります)
それを記念しての一日10話投稿!!
本日の4話目。
72話 呑気に助けを求めるんじゃなく、自分で助かるために動けや、ボケぇえええ! 俺は、お前らのお母さんじゃねぇんだよぉおおおお!
「クソ野郎が……なんで、そこまで――」
「愛だよ、センくん。これが俺の愛だ」
「お前もトリデも……愛がどうこう、うるせぇんだよ。愛ってのは、ためらわないこと! それ以上でも、それ以下でも、それ以外でもねぇ! 知らんけどぉおおお!!」
センキーは、セミガニャルの中で苦しんでいるイス田中たちを解放しようと加速していく。
レイナは意識を奪われているので、特に何も言っていないが、他の田中は、みな、地獄の苦しみを味わっている様子。
……さっきセンが自分で言っていたが、
どうせタイムリープするつもりだから、ここでイス田中が何人死のうが関係ないと言えば関係ない。
だが、感じるのだ。
ひしひしと伝わってくる。
セミガニャルの中から、救いを求める声が。
『助けて……』
『苦しい……』
と、イス田中たちの嘆きの声が、
ギニギニと、歪んだ電波で伝わってくる。
だから、センは止まれない。
「ああ、もう、うるせぇんだよ、マジでよぉおおお! 呑気に助けを求めるんじゃなく、自分で助かるために動けや、ボケぇえええ! 俺は、お前らのお母さんじゃねぇんだよぉおおおお!」
感情の暴走が、センの深部に深く突き刺さる。
膨れ上がっていく。
命のカケラ。
「どうかな、センくん。俺の武は……なかなか鋭いだろう?」
イス田中の命を湯水のように使い捨てて、
凶暴に暴れ回るセミガニャル。
そんなセミガニャルの武に、流石に押され始めるセンキー。
演算速度という点では、それでも、まだ、トウシの方が上なのだが、
かなり競ってきているので、
『それ以外の部分での差』が如実になってきている感じ。
センエースが引き継いでいる強さは、前回の一週分だけ。
……ソウルゲートで200億年を積んだ分だけ。
それに引き換え、蝉原は、『ショデヒがバーチャルディメンションを使う前の全部』+『200億×1万……200兆年分』の『積み重ね』がある。
その上で、『トリデサイゴ』の可能性と『ショデヒ』の可能性を奪っている。
CPUが『ほぼ互角』なら……あとは、ハードの質で決まるわけだが、
そこには明確な差があった。
「くそぉおお! マジで強ぇ! さばききれねぇ! おい、トウシ! もっと踏ん張れ! お前は宇宙一の天才だろ! たかが『命を張っている程度の親戚』ごときに負けてんじゃねぇよ! 情けねぇ! これだから、最近の若者はダメなんだ!」
老害のテンプレを叫ぶセンキーの中……最奥の最奥で、
トウシは、
(……この状態のセミガニャルと戦いながら、アイテムショップのシステムを同時にハックするんは……流石に無理やな……)
優先順位について頭を悩ませていた。
何を最も先に実行すべきか。
実行するために、どんな準備が必要か。
コンマ数秒の中で、散々悩んだ結果、
トウシは、
(悪いが、セン……あとは、独りでやってくれ。ここから先は、お前だけのオンステージでよろしく)
(ははっ、またまた御冗談を。相手のCPUは、『一族総出の田中家御一公』だぞ。俺一人で相手になるわけねぇだろ)




