71話 出力は落ちるけれど、仕方ない。大脳辺縁系をイジくって、感情を奪わせてもらう。完全にただの道具となり……俺のために壊れて死ね。
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71話 出力は落ちるけれど、仕方ない。大脳辺縁系をイジくって、感情を奪わせてもらう。完全にただの道具となり……俺のために壊れて死ね。
「お前は、上手に、人を動かすことができる真のカリスマだろう。もっと、人の心理を巧みに操れよ」
「お行儀のいい優等生じゃ、限界の壁は超えられない」
「ヤンキーの王様が、優等生を自称する……カオスもここまでくれば、もはやシュールギャグなのかどうかすら分からねぇな」
そこで、蝉原は、自分の『奥』へと深くもぐりこみ、
『死にたくない』と喚いているイス田中たちに、
「反抗するなよ……たかがイスの末裔風情が……イスの王『田中トウシ』ならばともかく……君たちは、所詮、ただの奴隷。神格の狂王である俺の道具に過ぎない。……どうしてもやりたくないというのなら……出力は落ちるけれど、仕方ない。大脳辺縁系をイジくって、感情を奪わせてもらう。完全にただの道具となり……俺のために壊れて死ね」
狂気的なことを口走っているセミガニャルに、
センキーが、
「おい、やめろ。どうせ、ここから銀の鍵を使って、リセットするつもり満々だから、この世界線で誰が何人死のうと、ぶっちゃけ、関係ないっちゃ関係ないんだが……無意味に地獄を量産するな。普通に気分が悪い。気のすむまで殺し合ってやるし、なんだったら、ちょっと手加減してやるから、他者を巻き込むな」
「ふふふ」
セミガニャルは、楽しそうに笑ってから、
「センくん。君はずっと、君のままだね。どんな時でも、君は、無上の英雄で在り続ける。人類の理想。命が望んだ希望の源泉」
「200億年童貞が人類の理想なわけねぇだろ。俺は、ただ、ソウルゲートで時間をアホほど積んで、ちょっとマシな強さを手に入れただけの弱者男性だ」
「君との対話は本当に楽しいよ。君がずっと、君でいてくれるから。俺はどんどん変わっていく。君とふれあい続けたことで、本来の歪みが、どんどん丸くなっていく。許せないことだ」
「後期のベジ〇タみたいなこと言ってんな……」
「だから、極端なことをやり続けないといけない……心の向こう側に……命の最果てに……たどり着くために……」
そう言いながら、自分の中に根付くイス田中たちの脳をグチャグチャにいじくっていく。
『悪』を暴走させて、コアオーラのカルマを底上げしていく。
「恐怖だけは残しておいた方がいいかな……その方が、精度が上がる……」
「おい、ごら! やめろっつってんだろぉ、ボケェえ! シャレじゃねぇんだよ!!」
と叫びながら突貫するセンキー。
その速度に、セミガニャルは、優雅に対応していく。
「はは……見えるよ……未来が少しだけ見える。大量のイス田中に絶死を積ませた甲斐があった……ほんの数分が限界だけれど……今の俺は君より高く飛べる……」
「クソ野郎が……なんで、そこまで――」
「愛だよ、センくん。これが俺の愛だ」
「お前もトリデも……愛がどうこう、うるせぇんだよ。愛ってのは、ためらわないこと! それ以上でも、それ以下でも、それ以外でもねぇ! 知らんけどぉおおお!!」




