70話 歯止めを失った時にしか出せない火事場の糞力で……君との距離を少しでも埋める。永遠にゼロにはならないこの距離を……それでも愛すると叫んでみせる。
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本日の2話目。
70話 歯止めを失った時にしか出せない火事場の糞力で……君との距離を少しでも埋める。永遠にゼロにはならないこの距離を……それでも愛すると叫んでみせる。
「スキルも魔法も変身も、結局のところは、舞台作りの一ファクターにすぎない。結局大事なのは、最後の最後に立っていられる気合いだけ……その点において……俺は永遠に、君に負けている。一生、俺は、君に勝てない。……『根性の鬼』として、コスモゾーンに登録されている狂気のメンタルオバケ『トリデサイゴ』と合体しても、その差が埋まることはなかった」
「ようやく俺が理解できたようだな。くるしゅうない。というわけで、ケンカは終わりだ。この無意味な殺し合いをやめて、世界を元に戻すことに注力しよう。とりま、銀の鍵を貸してくれ。タイムリープして、リセット――」
「一生勝てない……と分かっていながら……永遠に負け続けると理解していながら……それでも、俺の中でたぎる、君への想いを捨て去ることができない。きっと、この感情こそが……恋であり、愛なんだろう」
「違うよ。俺はバカだけど、それが違うってことだけは分かるよ」
「世間一般の連中が、男女間やあるいは同性間やはたまた異種間で、好きだの愛しているだの、散々、好き放題言い散らかしているが、どれもこれも、すべて、純正のマガい物……どれもこれも、すべて、単なる性欲の拍動に過ぎない。本物の愛は、俺の中にある、この暴走だけ。俺の君への想いだけが本物で、それ以外は全部ニセモノだ」
「お前もトリデも……中学生の黒歴史ノートみたいなこと言うのはやめろよ。恥ずかしいよ」
「君への愛が暴走する。今の俺は何でもできる。歯止めを失った時にしか出せない火事場の糞力で……君との距離を少しでも埋める。永遠にゼロにはならないこの距離を……それでも愛すると叫んでみせる」
「シャレじゃなく、マジで、ちょっと何言ってるかわかんないんだが……」
と、センキーがドン引きしていると、
セミガニャルは、
「俺の中に刻まれたタナカたちよ……もっとだ。もっとよこせ。全部だ……脳を焼き切れ。ここで死ね。そうすれば、一瞬だけだろうが、センくんと対等に殺し合える。俺とセンくんの死闘を飾るために……死ぬ気で死ね」
あまりにも理不尽なパワハラ要求。
ブラックがどうとかいうレベルですらない、神風特攻要請。
無茶すぎるオーダーを発注しているセミガニャルに対し、
センキーは、呆れた眼差しを向けて、
「いやいや、蝉原さんよぉ……そんな命令をされて、『はい分かりました』って頷くやつはいないだろうよ。お前らしくねぇなぁ。お前は、上手に、人を動かすことができる真のカリスマだろう。もっと、人の心理を巧みに操れよ」
「お行儀のいい優等生じゃ、限界の壁は超えられない」
「ヤンキーの王様が、優等生を自称する……カオスもここまでくれば、もはやシュールギャグなのかどうかすら分からねぇな」
そこで、蝉原は、自分の『奥』へと深くもぐりこむ。




