68話 根性勝負では誰も君には勝てない。けど、やってみたくなる。高い山ほど登りたくなる気持ち……君にも分かるだろ?
68話 根性勝負では誰も君には勝てない。けど、やってみたくなる。高い山ほど登りたくなる気持ち……君にも分かるだろ?
正しく機能している共鳴融合と、大量のイスタナカCPUシステムという、二つの武器を振りかざして、センキーに凶悪な圧力をかけていくセミガニャル。グングンと加速して、だけど、スピードに振り回されることなく、エッジをきかせてグリップの精度を上げる。
グイングインと、次元と空間を、縦横無尽に、悠然と支配していくセミガニャル。
「……レイズソウル・イビルノイズ・カンファレンスコール」
そう宣言した直後、
センキーの周囲に、山ほどの『黒く輝く玉』が顕現する。
その膨大な数と出力に対し、普通におののきながら、
センキーは、
「ドリームオーラ・オメガバスティオン」
全体キャンセル防御で対応していく。
そんなセンキーの適切な対応に対し、セミガニャルは、ニコっと静かに微笑んで、
「……『どっちの方が長い時間、息止めできるか』みたいな、そんな、根性勝負を君に挑むのは愚の骨頂だということは理解している。根性勝負では誰も君には勝てない。けど、やってみたくなる。高い山ほど登りたくなる気持ち……君にも分かるだろ?」
「わかんねぇな。難しすぎるゲームは嫌いだ。だから、フロムソ〇トウェアのゲームをクリアしたことはねぇ。俺はおバカさんだから、マリ〇RPGやドラ〇エ5ぐらいの難易度じゃないとクリアできねぇんだよ。ペル〇ナやる時も、基本は、難易度セーフティでやるしなぁ。……その辺を踏まえた上で、難易度を設定してくれ」
「ふふ」
セミガニャルは、一度、紳士みたいに微笑んでから、
「さあ、勝負だ……」
両手の掌をセンキーに向けて、
センキーの周囲に展開させた黒い球に、膨大なエネルギーを注ぎ込む。
すると、黒い玉の一つ一つが、ブブブブブっと鳴動し、
『超早送りモードで観察している時の細胞分裂』みたいに、
ブチブチ、ゴロゴロ、山ほど増殖していく。
そして、膨大に増えた玉の一つ一つが、
まるで強い知性を持っているみたいに、
しなやかな緩急と変化をつけつつ、
あらゆる角度から、センキーへと襲い掛かる。
センキーは、柔軟性のあるドリームオーラ・オメガバスティオンで何とか対応するが、
「くぉおおおおっ」
オメガバスティオンの難易度はフリースローで表現されることが多いが、
今回のソレでいうと……
『ゴールまでの距離とか、ボールの大きさとか重さとかが、毎回ランダムに変わるフリースローを無限に成功させ続けなければいけない』
――みたいな感じ。
普通に難易度が高すぎて、バスケのプロでも開始数秒で失神必至の苦行。
そんな地獄に対応しなければいけないのも大概なのだが、
そんな地獄を生み出すのもなかなか大変だったりする。
縦横無尽、緩急豊かに、カンファレンスコールをコントロールするのは、なかなか骨が折れる作業。
気づけば、セミガニャルの鼻からツーっと血が流れていく。
脳がパンパンになって、意識がフラついて、視界が歪んでいく。




