６７話 俺は、『この世で最も偉大な英雄センエースの宿敵』という……『この世で最も強大な悪』を担っている。だから、絶対に……ハンパは許されない。
６７話 俺は、『この世で最も偉大な英雄センエースの宿敵』という……『この世で最も強大な悪』を担っている。だから、絶対に……ハンパは許されない。
「ちょっとだけ時間がかかってすまなかったね。まだ、この手の脅しに慣れていないんだ」
と、何の意味もない嘘をついていくセミガニャル。続けて、
「大量の田中のおかげで演算速度はかなりマシになったけど、それでも、田中トウシ一人に惨敗だっていうんだから……本当に、田中トウシはチート過ぎるねぇ」
などとブツブツ言っている蝉原の視線の先で、
センキーは、蝉原にやられたタナカの惨殺死体を見つめながら、
「お前なぁ……いくらなんでも、諸々、やりすぎだろ。この死体、マジでめちゃくちゃ拷問してんじゃねぇか」
「見せしめだからね。ハンパじゃ意味がない。今の俺は、学生の時みたいに、ヤクザごっこをしているんじゃない。『この世で最も偉大な英雄センエースの宿敵』という……『この世で最も強大な悪』を担っている。だから、絶対に……ハンパは許されない」
「まだ英雄イジリしてくるのかよ。てめぇもトリデも、マジでしつけぇな」
「大事なことだからね。刷り込みたいんだよ。決して忘れないように。あと、言っておくけど、俺が極端なことをしているのは、すべて、君のせいだよ。君が強いからいけないんだ」
そこで、セミガニャルは、タナカの惨殺死体を指さしながら、
「彼が、こんなにも無残な死に様を晒すことになったのは、全て君のせいだよ。反省しなさい。この人殺し！ 鬼の子！ 悪魔！ ヤクザ！ 人の生き血をすする鬼畜外道！」
「ふふ……まったく、人をイライラさせるのがうまいやつだ。初手からずっと、メチャクチャばっかりしやがって」
そう言いながら、オーラと魔力をガンガンに高めていくセンキー。
ギャグを口にしているものの、普通に、きっちりとキレている様子。
膨大な力強さという波動だけで、極端な波状威圧をかけてくるセンキーの姿に、
シャレ抜きでビビリながら、しかし、表面的には、一切、その心情を出さず、
セミガニャルは、まっすぐに前を向いて、
「……君が無茶苦茶な強さになっていなければ、俺も、ここまでの無茶はしないよ。俺は嘘つきだけれど、さっきのセリフには嘘はない。俺に無茶をさせているのは君だ。つまり、本当に君のせいだ」
嫌がらせとしての意味しかない言葉を口にしながら、
センキーに負けじと、オーラと魔力をギュンギュンに高めていく。
高まって、膨れ上がって、暴走していく両者。
そして始まる第二回戦。
正しく機能している共鳴融合と、大量のイスタナカＣＰＵシステムという、
二つの武器を振りかざして、センキーに凶悪な圧力をかけていくセミガニャル。
グングンと加速して、だけど、スピードに振り回されることなく、エッジをきかせてグリップの精度を上げる。
グイングインと、次元と空間を、縦横無尽に、悠然と支配していくセミガニャル。
「……レイズソウル・イビルノイズ・カンファレンスコール」
