62話 なに、この展開……もうやだ……誰も言う事聞いてくれないし、基本、ずっと、わけわかんないし、なんだか辛いことばっかり……俺、もう、おうち帰る……
62話 なに、この展開……もうやだ……誰も言う事聞いてくれないし、基本、ずっと、わけわかんないし、なんだか辛いことばっかり……俺、もう、おうち帰る……
「――イビルノイズ/ムーンライト・サンソウル・アマルガメーション――」
詠唱の直後、蝉原の全てが、トリデの中へと溶けていく。と、同時に、トリデの全ても、蝉原の中へと溶けていった。
「……すぅうう……はぁぁあ……すぅうう…………はぁああああ……」
不完全な一つになった蝉原とトリデ。
新たなる合体戦士は、厳かな深呼吸で身を清めてから、
パチっと目を開けて、センエースと田中トウシという狂気を視界におさめる。
2人の『強い視線』と向き合いながら、
『トリデと合体した蝉原』は、
「オメガ・ニャルとセミハラユーゴが合体して……セミガニャルってところかな」
と、軽い自己紹介をかましていく。
『合体戦士セミガニャル』の威容を目の当りにしたセンは、
「……えぇ……なんでぇ……蝉原ェ……なんで、そうなるぅ? 一緒に、トリデを倒して、それでハッピーエンドでいいじゃん……なんで、お前がトリデと合体して、最悪の災厄になるっていう地獄みたいな展開になるぅ? なに、この展開……もうやだ……誰も言う事聞いてくれないし、基本、ずっと、わけわかんないし、なんだか辛いことばっかり……俺、もう、おうち帰る……」
親指をしゃぶりつつ、半ベソをかきながら、そんなことをのたまうセンを尻目に、
トウシが、
「おどれの家はぶっ壊されて、もうないやろうが」
辛辣なことを言いつつ、
特に了解を得ることもなく、センエースの胸部に触れながら、
「アマルガメーション!!!」
問答無用で、好き勝手に合体していく。
センエースと田中トウシ……互いに、『雄々しい輝きを放つ粒子』となって混ざり溶け合う。
目がつぶれてしまいそうなほどの、力強い輝きが放出され、
カっと、まばゆく世界が光る。
……その光が収束した時、
そこには、
「パンパカパーン! またまたやってきたぜ、聖なる死神スーパーセンキーだ!」
そう叫ぶのは、今回のセンキーの主軸を担当している『センエース』の意識。
どうやら、センは、合体している途中で、『対蝉原』の腹をくくったらしい。
頼れる相手がいるときに、過剰な面倒事が積み重なると、一気にダルくなって、ペイっと投げ出してしまうというのも、センエースの特質の一つ。
センエースの……というか、人間の特質。
「蝉原! もう、なんか、色々と面倒くさくなってきたから、銀の鍵とやらを奪い、てめぇごとトリデを殺して、タイムリープして、強制的にハッピーエンドにさせてもらう!」
バキバキと指の関節を鳴らし、
蝉原を睨んだまま、
「……蝉原ェ……できれば、お前に、世界関連の面倒事処理を任せたかったが……なんか、もう、マジで、諸々めんどくせぇ! そもそも、なんで、俺が、そんな感じのことを考えないといけないんだ! ふざけんな! ――蝉原勇吾! お前とトリデを殺し、あとのことは全部トウシに任せ、俺は寝る!! もう知らん!!」




