57話 貫通属性だとか、無属性だとか、万能の魔法だとか、そんなチャチな言葉遊びはお呼びじゃない、とばかりに、謎のシステムで暴走し尽くしたセンエースの『閃拳』。
57話 貫通属性だとか、無属性だとか、万能の魔法だとか、そんなチャチな言葉遊びはお呼びじゃない、とばかりに、謎のシステムで暴走し尽くしたセンエースの『閃拳』。
「センエース! オメガバスティオンは使うなよ!」
「了解! トラン〇ム!!」
気品のあるファントムで返していくセン。トリデはずっと、生真面目に真剣で、センはずっと、艶やかにふざけている。方向性としては、真逆の芳香で揺らめいているが、実際の内心で言えば、どちらも、だいぶビンビンでギッシギシ。
思春期の暴走を、これでもかと煮詰めて煮詰めて煮詰めて……
それで、丹念に、こし出されたエキスで仕立てた香水みたいに、
ドロっと、ズルっと、もはや、色鮮やかなほどに香ばしく薫る。
「異次元砲!!」
トリデの全身全霊が力強くまたたいている。
地表にいるセンに向かって発射された、エゲつない火力の異次元砲。
星を破壊する意志も込めているため、
仮にセンが回避でもしようものなら、
普通に、コスモゾーンの法則と向き合って、
地球は木っ端みじんに吹っ飛ぶだろう。
……それが、なんとなくの感覚で理解できたセンは、
一瞬、反射的に、早漏な理性が先走り、
オメガバスティオンを使いかけた……が、
「トリデサイゴ。……ここで、お前に対して、オメガバスティオンを使うのは……流石に、野獣先輩が過ぎるな」
と、マジで、何言っているかわかんない言葉を口にする。
セン本人としても、『意味がある言葉』を口にしている気はない。
ただ、何か、品のある下劣な言葉で、この場の空気をケムに巻きたかっただけ。
つまり、今のセリフこそ、もっとも純度の高いファントムトークと言えよう。
……知らんけど。
「うらぁああああああああああああ!!」
センは、最大限にオーラをガン上げして、拳にぶちこむと、
「俺の拳が真っ赤に燃えるぅうう!! 勝利を掴めと轟叫ぶぅううううううう!! 閃拳っっっ!!!!!!!!」
『ただ好きなだけの熱い言葉』を叫びつつ、
異次元砲に向かって、無策の閃拳をぶちこんでいく。
センとトリデの対話はずっとそう。
お互いが、好き勝手なことを言っているだけで中身がまったくない。
――貫通属性だとか、無属性だとか、万能の魔法だとか、
そんなチャチな言葉遊びはお呼びじゃない、とばかりに、
謎のシステムで暴走し尽くしたセンエースの『閃拳』は、
まるで、ラーメンを前にしたフードファイターみたいに、
トリデの異次元砲を、ぺろりと、ほとんど丸のみにして、
「トリデ、死ね、ごらぁ、だぁらぁあああああああああああああ!!」
押し込んでいく。
『トリデの異次元砲』を飲み込んだ閃拳が、
――まるで、小学生相手に『本気の張り手』を決め込む『頭おかしい横綱』みたいに、
道理やマナーを無視した、グロ映像みたいな暴走で、
トリデの全部を、
「うぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」




