52話 さて……田中トウシ。教えてくれ。……君は、いったい、何をした? 詳細を聞いても、たぶん、分からないから、ざっくりと説明してくれ。
52話 さて……田中トウシ。教えてくれ。……君は、いったい、何をした? 詳細を聞いても、たぶん、分からないから、ざっくりと説明してくれ。
一気に、カンストオーバークラスまで出力を底上げしていくトウシ。そして、そのまま、問答無用の先手必勝、前陣速攻の構えで、ショデヒに殴り掛かった。
『今のトウシ』の拳をモロに受ければ、ショデヒなどひとたまりもない。
トウシは、ショデヒの撃破を確信した……
――が、
「ぶおっ!」
トウシの拳がショデヒの顔面にブチ当たる直前で、
ショデヒの影からニュっと伸びてきた腕が、
ショデヒの足をガシっと掴み、
そのままドップンッと、影の中へと引きずり込んだ。
ショデヒは、数秒ほど、影の中を泳いでから、
「ぶはぁあああっ!!」
もがきながら、なんとか影から脱出すると、
影を睨みながら、
「な、な、なんだ?! いったいなにが! なにがどうなっている!! なんだ、これぇえええ!!」
トウシにいきなり殺されそうになり、
かと思えば、影に引きずり込まれる。
あまりにも意味不明な状況の連鎖に涙目にならざるをえない様子のショデヒ。
そんなショデヒの影から、
蝉原勇吾が、ヌっと現れた。
蝉原の顔を見るやいなや、
ショデヒは、また眉間にシワを寄せて、
「せ、蝉原……っ! なぜ、ただの人間でしかない貴様が……」
と、そんな風に、困惑を口にしている途中で、
ショデヒは、
「むぐっ。むーむー」
蝉原に、グっと首を掴まれて、
「悪いけど……今の俺には、お前にアレコレをノンビリと説明していられる余裕はない。今は緊急事態中の緊急事態なんでね」
そう言い捨ててから、蝉原は、
そのまま、有無を言わさず、
バグっと、ショデヒを飲み込んで、
「さて……田中トウシ。教えてくれ。……君は、いったい、何をした? 詳細を聞いても、たぶん、分からないから、ざっくりと説明してくれ」
言葉だけは冷静に、
しかし、内心では普通にバクバクしながら、
蝉原は、情報を集めようと必死。
そんな蝉原に、トウシは、視線の強度を高めた上で、
「いまさら、隠しても無意味やから教えたるわ。お前のコスモブラックボックスにハックをしかけて、銀の鍵に介入させてもろた」
「そんな、『普通なら絶対にできるわけがないこと』を、サラっと当然のように言われても困るなぁ。……そもそも、銀の鍵は、『絶対にバレるわけがない方法』で隠していたんだけど……んー……なんで、『俺が銀の鍵を持っている』って分かったんだい?」
「ワシがタナカ・イス・トウシやから。QED」
「……まあ、確かに、それ以上の答えはない、完璧な証明だね……やれやれ」
心底しんどそうに溜息をつく蝉原に、
トウシは追い打ちをかけていく。
「蝉原……おどれはもう、銀の鍵を使えんぞ。センエースの魂魄は、輝木の剣翼に守られた状態にある。……今のセンエースから無限転生を奪える者はおらん。少なくとも、お前には無理」
「……そうみたいだねぇ。もう、泣きそうだよ。どうしたもんかな……」




