47話 条件さえ満たせば、2回目も出来ると思うんだよなぁ。……トリガーはなんだろう。電子レンジと電話を組み合わせて、ブラウン管をリフターにすることかなぁ
47話 条件さえ満たせば、2回目も出来ると思うんだよなぁ。……トリガーはなんだろう。電子レンジと電話を組み合わせて、ブラウン管をリフターにすることかなぁ
センの言葉を浴びた輝木の中で、多くの感情が嵐のように吹き荒れる。
「……約束……神化……」
自分自身の深層を、最深部にある全てを、吐きだすみたいに、解放していく。グワァっと一気に膨れ上がる輝木の全部。沸騰した輝木を見て、ウムルが、ザサっと後退りをする。
「な……なんだ……その、膨大なオーラ……」
ビビり散らかしているウムルの目の前まで、
一瞬で移動した輝木は、
「少しだけ感謝させてもらいますぅ。おかげで、センイチバンの想いに触れることができましたぁ」
そう言うと、
ウムルに右手を向けて、
少しだけ魔力を放った。
その瞬間、水風船をハリで割ったみたいに、
ピシャンと、ウムルの外殻が弾け飛んで、
血液も臓器も、一気に蒸発してしまった。
あまりにも、一連の出来事が一瞬過ぎて、
センは、何が何だか分からなかった。
「……いや、変身できんのかい……ほな、最初から変身せんかいっ」
と、軽く、ツッコミを入れてから、
「普通に助かった……が、正直、マジで、周囲がこうなる前に、変身して欲しかったな……」
周りを見渡して、
「くっそぉ……どうやったら、リセットできるんだろぉ。……俺が経験したリセットは、状況から鑑みるに、タイムスリップじゃなく、タイムリープだよな。記憶だけを飛ばしている感じ。……1回できているから、不可能なことじゃなく、条件さえ満たせば、2回目も出来ると思うんだよなぁ。……トリガーはなんだろう。電子レンジと電話を組み合わせて、ブラウン管をリフターにすることかなぁ……」
などとつぶやいていると、
先ほど、『ウムルが死んだ箇所』で、
ビキビキっと、
嫌な音がした。
それを見たセンは、渋い顔で、
「うわ、これ、もしかして……ウムルをリリースして、上位モンスターをアドバンス召喚する流れじゃねぇ? もういいって、絶望は……しんどいよ……ボスケテ……」
言葉はふざけているものの、
内心は、マジの絶望であふれていた。
そんな、弱音と悲哀に包まれているセンの目の前に現れたのは、
――剣の翼を優雅にはためかせている『狂気を纏った怪人』だった。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ! うそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! もう、いやぁああああああああああああああああああああ!!」
露出狂に出会った無垢な少女のように、盛大な悲鳴をあげるセン。
「輝木ぃいいい!! 逃げるぞぉおお! あれには勝てないぃいいいい!」
そう叫ぶセンの視線の先で、輝木が、ボソっと、
「あれはもしかして……砦サン?」
「そうだぁああ! あいつはやばい!! モブの皮をかぶった悪魔だ!!」
「センイチバン、そんなに心配しなくても、大丈夫ですよぉ。今の私は、かなり強いですからねぇ」




