46話 せっかく、リセットされたのに……また、リセットしないといけないじゃねぇか、めんどくせぇ。……まだ、どうすれば、リセットできるか分かってねぇのに。
46話 せっかく、リセットされたのに……また、リセットしないといけないじゃねぇか、めんどくせぇ。……まだ、どうすれば、リセットできるか分かってねぇのに。
ウムルは、センと輝木の動きを完全に見切ったように、スルスルと、自由なムーブで、輝木の特殊空間を裂きつつ、センの突貫を、あえてギリギリのところで避けながら、
「不敬にも、私の腕を切った貴様には……相応の地獄を見せてやらんとな」
そう言いながら、両腕を胸の前で交差させる。すると、周囲に散らばっていた蛇状のエネルギーが、一斉に、大爆発を起こした。
その規模感は、脅威の原爆級。
とんでもない密度の空襲を受けたみたいに、
周囲の家も人も、すべてが、ゴッソリと壊滅してしまう。
破壊された範囲は、県内全域。
未曾有の大災害・大爆発に対し、
国内、国外問わず、とんでもない速度と勢いで、
歴史に残る大問題として大ニュースとなったし、
現場を取材しようとヘリが飛び、
自衛隊の戦闘機なども飛んできた。
「……まただよ……くそが……くそが……くそがぁ……ああ……うぜぇ……」
まるで蚊みたいに、
ウムルの照射で、次々に撃ち落とされていくヘリを見つめながら、
センは、
「せっかく、リセットされたのに……また、リセットしないといけないじゃねぇか、めんどくせぇ。……まだ、どうすれば、リセットできるか分かってねぇのに……くそが……」
などとつぶやいていると、
あらかた、空の掃除を終えたウムルが、センの目の前まで降りてきて、
「さあ、そろそろ、貴様の番だ。もう二度と、奇跡はおきないぞ。貴様が振る剣に、謎の殺傷力があることは既に理解しているからな。集中してさえいれば、貴様のノロい剣など、絶対に当たらない。私の腕を切った罰として……じっくりと殺してやる」
「たかが、腕を切られたぐらいで大げさなやつだ。それでも神格かよ、みっともねぇ」
そう言いながら、しっかりとナイフを構えて、
隣にいる輝木に、
「輝木、頼むから消えてくれ。マジで邪魔だ」
「そのお願いが無意味だってことが、本当に分からないんですかねぇ?」
心底不思議そうな顔でそう言う彼女を尻目に、センは、
「……」
数秒、逡巡してから、
「てめぇが死ぬ方がキツい、っつってんだ……マジで、頼むから、逃げてくれ。嫌なんだよ、本当に。もう二度と、お前が死ぬところは見たくない」
どうにか、『届いてほしい』と願いながら、
ただのまっすぐな言葉を投げかける。
届いてほしいと願いを込めると、
案外、言葉というのは、
相手の心に、しっかりと届くものらしく、
センの言葉を浴びた輝木の中で、
多くの感情が嵐のように吹き荒れる。
暴走する感情論の証明みたいに、
輝木は、恍惚の顔で、天を仰ぎ、
「……約束……神化……」
自分自身の深層を、
最深部にある全てを、
吐きだすみたいに、
解放していく。
グワァっと一気に膨れ上がる輝木の全部。
沸騰した輝木を見て、
ウムルが、ザサっと後退りをする。
「な……なんだ……その、膨大なオーラ……」




