44話 センイチバン……一つだけ、絶対にゆるぎないことを言っておきますねぇ。私は絶対に、この場から逃げませぇん。それを、大前提として、行動してくださいねぇ。
44話 センイチバン……一つだけ、絶対にゆるぎないことを言っておきますねぇ。私は絶対に、この場から逃げませぇん。それを、大前提として、行動してくださいねぇ。
『高速道路での人身事故』みたいな勢いで、センと輝木両方が吹っ飛ぶ。その勢いが凄すぎて、センの自室の壁は普通に破壊され、二人とも、外に放り出された。ウムルの食いちぎりからは逃れられたが、輝木の突進というえげつない衝撃を受けて、普通に腹から下がグシャグシャに崩壊しているセン。
「ごめんなさぁい……すぐに治しますからぁ」
そう言いながら、携帯ドラゴンの治癒魔法を使い、
センの肉体を回復させていく輝木。
「がふっ」
なんとか動けるぐらいに回復したセンは、
よろけつつも、どうにか立ち上がり、
「このクソ女……死にかけたじゃねぇか、この野郎」
「あとで、なんでもいうことを聞くので、許してくださぁい」
「ん? いま、なんでもするって言ったよね?」
「はい、だから、どうか、許してくださぁい」
「よし、命令だ、輝木」
「はい、なんですかぁ」
「この場から消え失せろ。お前の顔はもう二度と見たくない」
「……ふふ」
「なにわろてんねん」
「こんなヤバすぎる危機的状況で……最初から、ずっと、一貫して、私を逃がすことしか頭にないんですねぇ」
「……」
「おまけに、私を逃がすためなら、自分が嫌われてもいいって感じですかぁ……本当に、あなたは……頭がおかしいですねぇ」
笑いながら、そう言ってから、
輝木は全身に魔力とオーラを集中させる。
「センイチバン……一つだけ、絶対にゆるぎないことを言っておきますねぇ。私は絶対に、この場から逃げませぇん。それを、大前提として、行動してくださいねぇ」
「……」
そんな、不毛なやりとりをしていると、
破壊されたセンの部屋から、ウムルがヒュンと飛び出してくる。
ちなみに、周囲には、センの自室が崩壊した際の爆音で集まってきたやじ馬が数人。
誰かが警察や消防や救急車に電話もしたようで、遠くからサイレンも聞こえる。
「あれ、なに?」
「家、めっちゃ壊れてんだけど」
「ガス爆発とか?」
壊れた家を見てスマホを向ける者が多数。
そして、もちろん、ウムルの異様な姿にも視線が集まる。
「これ、なに、特撮?」
「めっちゃキモい恰好しているんだけど……あれ、特殊メイク?」
ウムルの異形ぶりを見て、
周囲のヤジウマ連中は驚きつつも、
しかし、昨今の特殊メイク技術の発達のせいで、
『本物の怪物』だと判定する者はいない。
センは、目の前に降りてきたウムルや、
周囲に集まってきている野次馬や、
全然いうことを聞いてくれそうにない輝木に、
辟易した視線を向けながら、
心の中で、
(全方位にエグい状況だ……どうする……正直、わけが分からんが……雰囲気的に、『世界がリセットされた』と考えて間違いないだろう。……なんでリセットされてんのか一ミリも分からんが……そこに関しては、ただありがたいだけだから、変に追及したりせず、受け入れておこう。
カクヨムの方で、さらに、「野球魔人」の連載も開始しました(*´▽`*)
今回は、これまで以上に、じたばた、全力であがくつもりです!
ゴールデンウイークイベントの本番では、応援いただけたら幸いです!
あと、シンプルに楽しみにしていただければと思っております!
だいぶ面白い作品になっております(*^-^*)




