41話 脆弱な人間とは思えない、膨大な力を持っているな……しかし、それは、人間の中ではマシというだけで、私の相手ができるレベルではない。
今日は夕方に投稿できない可能性があるので、朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
41話 脆弱な人間とは思えない、膨大な力を持っているな……しかし、それは、人間の中ではマシというだけで、私の相手ができるレベルではない。
ウムルの顔面がグニャリとゆがむ。急な衝撃に、だいぶ驚いている様子。……ただ、あくまでも、驚いているだけで、大きなダメージが通っている様子はなかった。
ウムルは、ギラリと、『この部屋に飛び込んできた殺人鬼みたいな美少女』――輝木をにらみつけると、
「なかなかの火力だ……褒めてやろう」
そう言いながら、輝木の首をつかみ、グンっと自分のもとに引き寄せながら、
彼女の腹部に、
ドゴンッ!
と、豪速の膝をぶちこんでいく。
「うぐほっ!!」
ウムルの強烈な一撃を受けて、
大量の血ヘドを吐き散らかす輝木。
この間、コンマ数秒。
『ダイナミックおじゃましますで登場するやいなや、ウムルを殴って、速攻、反撃の膝を喰らった輝木』
そんな彼女に対し、センが、驚愕顔で、
「輝木?! これ、なに?! どういう状況?! もはや、むしろ、今のこの現状こそがあまりにも『夢』っぽいんですけど! もしかして、俺、蝉原に殺されて、今は天国で夢みてる?!」
と、オロオロしながら、そう叫んでいる間、
輝木は、グっと奥歯をかみしめて、
ギっと、ウムルを睨み、
「センイチバンに……害をなす者は……誰だろうと……許しませぇん」
たった一つのアイデンティティともいうべき覚悟を口にしてから、
輝木は、ウムルに『反撃の反撃』をしていく。
鬼気迫る勢いで、
ウムルに猛攻撃をしかけている輝木……
だが、
「脆弱な人間とは思えない、膨大な力を持っているな……しかし、それは、人間の中ではマシというだけで、私の相手ができるレベルではない」
ただの真実を口にしてから、
ウムルは、輝木の攻撃をサクっと回避して、
グンっとノビのある拳で、輝木の顔面を殴りつけた。
「ぐはああああっ!!」
膨大な衝撃で、大量の鼻血を吹き出す輝木。
トランスフォーム輝木は、明確に、ウムルよりも弱かった。
ウムルの存在値は1000以上で、輝木の強さは700~800ぐらい。
――それを正しく受け止めたセンは、
「やべぇ、くそ! おい、輝木! お前、変身できるか?!」
そう問いかけると、輝木は、鼻からあふれ出る血を手で押さえながら、
「へん……しん……?」
「腹の下にグっと力を入れて、約束神化って叫べ! 自分は変身できるんだって思いながら!!」
「……や……約束神化!」
輝木は、さっぱり意味が分からないという顔をしているものの、一応、言われた通りに、約束神化と叫んでみた。
しかし、何も起こらない。
うんともすんとも。
「……くそぉ! 変身できないのか! つぅか、お前は未来の記憶がないのか! じゃあ、なんで、ここにいるんだ! 記憶があるから、ここに来たんじゃねぇのかよ!」
「嫌な予感がしたから来ただけですよぉ……未来の記憶というのは、よくわかりませぇん。あと、変身なら、していますよぉ。ご覧の通りぃ」
「トランスフォームが出来るだけじゃ、ウムル相手だと役に立たねぇ!」




