40話 私は最上位グレートオールドワンのウムル=ラト。偉大なる神に仕える者。得意技は時空操作。よろしく、どうぞ。
40話 私は最上位グレートオールドワンのウムル=ラト。偉大なる神に仕える者。得意技は時空操作。よろしく、どうぞ。
現状、何が何だかサッパリ分からないが、『目の前にウムルDがいる』というのと『デスゲームが始まる前まで時間が戻っているので、まったく力が使えなくなっている』という二点は把握したセン。
おののいているセンの視線の先で、『金のヴェールを纏った異形』は、
「……ん? おかしいな。聞いていたタイミングと全く違うが……」
困惑した感じで、ボソっとそうつぶやく。
そんな『金のヴェールを纏った異形』に、
センは、おそるおそる、
「あ、あのぉ……あなた、ウムルDさんですよね……アウターゴッドの……」
そう声をかけると、
それまで、センのことを気にもかけていなかった『金のヴェールを纏った異形』が、
センの顔をジっと見つめて、
「……いかにも、私の名前はウムルだが、Ⅾはつかないな。それに、アウターゴッドでもない。私は最上位グレートオールドワンのウムル=ラト。偉大なる神に仕える者。得意技は時空操作。よろしく、どうぞ」
「へ……そうなん……ですか……へぇ……」
目の前にいるのは、どう見てもウムルDだった。
見た目的には、ウムルDと、なんら違いはない。
だが、当人が、『ウムルD』ではなく『ただのウムル』だというのだから、それを受け入れるほかない。
(実はウムルDで、『Ⅾはつかない』と嘘をついているだけの可能性もあるが……その嘘、意味あるか?)
などと、センが心の中で思っていると、
ウムルが、
「ところで……貴様、なぜ、私のことを知っている?」
「え? えっと、それは……まあ……ゆ、夢で見たから……とでもいいましょうか……」
「不思議なことを言うガキだ……まあいい。召喚されるタイミングに、多少の誤差があるようだが、私の職務に変化はないだろう。これより、全人類を死滅させる。まずは、お前からだ」
そう言いながら、ウムルは、センの顔面を粉砕しようと、
問答無用の拳をぶち込もうとしてきた。
そのとんでもない圧力は、
現状、ただの一般高校生でしかない、センの顔面を爆散させるのに十分なものだった。
死がすぐ目の前に近づいてきていると認識したセンの脳が高速になった。
誰にでもある走馬灯、死に際のスローモーション。
そんなギリギリの中で、
センは気づいた。
スローになった視界の片隅、
自室の窓ガラスがバリンと割れて、
龍の鎧をまとった『殺人鬼みたいな目つきをした美少女』が、
猟奇殺人鬼以上の殺気を放ちながら、
センの自室に飛び込んでくると同時、
ウムルの顔面に向かって、
爆裂な火力を誇る拳を、
一切の躊躇なくぶち込んでいく。
「ぐほっ!!」
ウムルの顔面がグニャリとゆがむ。
急な衝撃に、だいぶ驚いている様子。
……ただ、あくまでも、驚いているだけで、
大きなダメージが通っている様子はなかった。
ウムルは、ギラリと、
『この部屋に飛び込んできた殺人鬼みたいな美少女』――輝木をにらみつけると、
「なかなかの火力だ……褒めてやろう」




