36話 蝉原を泳がせ、1万回繰り返させたことで、センエースが、究極覚醒に必要な100極を貯(た)めることができた。
36話 蝉原を泳がせ、1万回繰り返させたことで、センエースが、究極覚醒に必要な100極を貯めることができた。
(……ココにわずかな『勝機』がある。銀の鍵のメモリを拡張し、グリッチの記憶さえ引き継げれば、すぐさまコントロールルームにアタックが可能。この強引な一手は、一度やってしまえば、蝉原に『ワシが銀の鍵に介入したこと』が完全にバレるから、以降は、もう二度と、同じ手段はとれん。これは、最初で最後の、神の一手)
トウシの頭脳が煌めく。
――その超知性は、
スーパーコンピュータが裸足で逃げ出す、
マイティーストライクにフリーダムが過ぎる優艶なキュビット。
コンマ数秒の間に、無限に近い演算を経たトウシは、
ギラっと、血走った目で、
舞い散る閃光センエースを睨み、
(――これならいける。おそらく、ワシは、この作戦を、だいぶ前のループの段階から思い至っとった。その証拠・その仕込みこそが、これまでの諸々。……おそらく、普通にポイントが足らんかったから、今回のループまで稼いどっただけ。蝉原を泳がせ、1万回繰り返させたことで、センエースが、究極覚醒に必要な100極を貯めることができた。もう、作戦決行できる。……この作戦……一番大事な処理を『他者』に託さないかんのがネックといえばネックやけど……お前なら、たぶん、いける。託したぞ、センエース。これは、お前にしか出来ん不可能や)
センエースにオールベットする覚悟が、
自分でも驚くほどアッサリと決まる。
(もうバレてもええ……となれば、銀の鍵のメモリをいくら増築してもええってこと。『蝉原が、今回、銀の鍵を使う際に気づかん程度の偽装』さえできれば……あとは野となれ山となれ……ワシの記憶も、センの記憶も、全部、蝉原のデータと一緒に過去に送ったる……)
――最後の詰めに入る。
「センエース! お前の力、借りるで!!」
一瞬で、センエースの目の前まで豪速移動すると、
センエースに触れながら、
「アマルガメーション!!!」
合体することができる魔法を使った。
センとトウシの二人は、
互いに、『雄々しい輝きを放つ粒子』となって混ざり溶け合う。
目がつぶれてしまいそうなほどの、力強い輝きが放出され、
カっと、まばゆく世界が光る。
……その光が収束した時、
そこには、
「はい、完成ぇ! センエースと『ソンキー』が合体した、最強融合戦士センキー爆誕!! 今のワシに勝てるやつはそうそうおらんで」
そう叫ぶのは、主軸を担当している『トウシ』の意識。
トウシは、現在、『意識の主軸』を担当しているが、
肉体に関しては『ソンキー』に任せている。
肉体としては脆弱な『トウシ』が混ざるより、
ソンキーとセンエースだけで構成した方が
減衰率が低くなる……というのが、トウシの演算結果。
急に合体させられたセンは、
センキーの中で、
(おいぃいいっ! 急に、どうしたぁあああ? てか、俺ら、フュージョンしてるよねぇえええ?! なんでぇえええ?!)