28話 俺は寂しいと死んでしまう生き物なんだ! その精度たるや、メンヘラのウサギが呆れかえるレベル! どうだ、まいったか!
28話 俺は寂しいと死んでしまう生き物なんだ! その精度たるや、メンヘラのウサギが呆れかえるレベル! どうだ、まいったか!
「……これ、マジで現実なんか? 夢であってほしいなぁ……」
などとつぶやくトウシに、死にかけの蝉原が、自身に回復魔法を使いながら、
「ふ、ふふ……ところがどっこい……夢じゃありませーん」
と、優雅なファントムで世界をケムにまいている。
瀟洒な会話をしている二人を、疎外感いっぱいで見つめている閃光。
センは、
「おい、バカども! 主役の俺を無視して、仲良く会話するんじゃない! 俺だ! 俺に注目するんだ! 俺だけを見ろ! 俺だ俺だ俺だぁ!」
と、心細さが爆発している子供のような自己中心性を叫ぶセン。
普段のセンは、自分を日陰におくことを至上としているが、
世界が終わって3人しかいないという、心細さがマックスの今、
残りの2人にシカトされてしまうと普通に泣きそうになってしまう。
蝉原が、
「君を無視するなんてことは、俺の中ではありえないことだよ、センくん。いつだって、運命の中心は君の特等席さ」
「いい心構えだ、蝉原。ちょっと何言ってるかわかんないが、今後も、その調子で、忠義に励め。田中トウシ、てめぇもだ! 俺をシカトするなよ! 俺は寂しいと死んでしまう生き物なんだ! その精度たるや、メンヘラのウサギが呆れかえるレベル! どうだ、まいったか!」
終わってしまった世界で独り、どうしたものかと悩んでいる時に、
『圧倒的に自分より優れている』と確信できる天才二人が、
目の前に現れてくれたものだから、
実は、内心、小躍りするぐらい嬉しいセンエース。
『ああ、よかった。あとはこいつらに任せよう。で、俺は、現実逃避してふざけていよう』
という、やばい精神状態になっているセン。
センは、そこで、安堵に近いため息をついてから、
蝉原とトウシを交互に見て、
「まあ、なんやかんや言いたいことはいくつかあるが……とりあえず、良かった。マジで助かった! 正直、今のところ、何が何だか一ミリも分からんが、……とにもかくにも、お前ら、二人とも、生きていて本当によかった。無能の俺一人が残っても、どうしようもないからな」
と、ルンルンでそう言ってから、
「見たところ、お前ら、ちょっとケンカしているっぽいが……いったん、それは、中止だ。いや、別に、ケンカするなって言っているわけじゃないぞ? その辺、マジで勘違いするな。全部が終わったあとなら、好きに殺し合って、二人とも、野ざらしで、くたばってくれ。俺はお前らが嫌いだ。死んでくれたら、この上なくハッピーシンセサイザ、ほらね、楽しくなるよ。……ただ、今は、死んでもらっちゃこまる。普通にケンカしている場合じゃねぇ。現状は、さすがのパンダもササを棄てて走り出すほどの緊急事態だ」
自分の想いをつらつらと並べてから、
「信じがたい話だが、ついさっき、俺のクラスメイトの砦って名前のサイコキショウンコバカが、ご機嫌に、世界を終わらせてしまった」
慎んでお詫び申し上げます
『24話』のトリデの異次元同一体に関する表現が足りておりませんでした。
修正させていただきましたので、ご確認いただければ幸いです。




