20話 『仕方ない』から、『守らざるをえない』ってだけ。『守りたい』っていう、純粋な熱量があるわけじゃねぇ。その辺、勘違いしないでよねっ!
20話 『仕方ない』から、『守らざるをえない』ってだけ。『守りたい』っていう、純粋な熱量があるわけじゃねぇ。その辺、勘違いしないでよねっ!
「お前、これ……マジで、シャレじゃなく、あとで全部もとにもどせよ。どうにかしてもとに戻さないと……ガチでキレるからな。俺が本気でキレたら、本気でやばいからな。ただですむと思うなよ」
「センエース」
「まるで、クラスメイトみたいに、気軽に俺の名前を呼んでんじゃねぇよ、糞野郎!!」
そう叫びながら、センは、砦に特攻。
顔面をぶんなぐろうとするが、
するりと避けられる。
砦は、サクっと回避してから、センに、
「――お前は世界を守りたいのか?」
シンプルな質問を投げかける。
――砦は、いったん回避に専念。
――センは、全力の暴行に専念。
そんなまっすぐな時間の中で、
センは、当たらない拳を振り回したまま、
「世界を守りたいとは思ってねぇよ。そんな高尚なことは一切考えてねぇ。俺は聖人じゃねぇからなぁ。シンプルに、『世界を壊されたら、その先、生きていくのが大変になるからやめてほしい』ってだけだ。極めて個人的な理由で、『仕方ない』から、『守らざるをえない』ってだけ。『守りたい』っていう、純粋な熱量があるわけじゃねぇ。その辺、勘違いしないでよねっ!」
「……」
「あと、大事なことを言っておく。……アホには分からんだろうが、『壊す』のなんざ簡単なんだよ。お前や俺ぐらいの力がなくても、核ミサイルのスイッチを何回か押せば、今と同じように、世界滅亡を実現することはできる。けど、スイッチ一つじゃ、『社会』はつくれねぇ」
センエースの『社会という概念』に対する人生観。
それは、永き時間を積む前から変わらない。
センエースの中に根付く『社会視点』は不変。
破壊は、誰でも簡単にできることで、
創造は、とんでもなく難易度が高いこと。
……だから、『暴力の精度』で『高い位置』にいるってだけで『調子に乗る』のは愚の骨頂。
「日本では政治家が腐っていたり、他国でも、いまだに戦争・貧困が相次いでいたり……世界には課題が山ほどあったが、それでも、どうにか、みんな、あくせく働いて、少しでも、社会をマシにしようと、もがき、あがき、苦しんでいた。そんな、みんなで、がんばって築き上げた砂の城を、お前はガキの癇癪みたいな勢いで踏みつぶした。そんな、おバカさんのお前を、ぶんなぐって修正してやりたいと思うのは、ただの真っ当な感情論であって、それ以上の何かしらじゃねぇ」
いいたいことを、ばーっと口にしたセンに、
砦は、
「自分の言動に対し、躍起になって言い訳をつける……その行動に何の意味がある?」
冷めた視線・冷めた口調で、ボソっとそう言い捨てた。
センは、そんな砦の発言に対し、
一度、『はんっ』と鼻で笑ってから、
「砦さんよぉ……お前さん、いったい、なにが、そんなに気に入らないんだよ。なんで、そんなに世界を憎んでいる」
質問しつつも、攻撃の手は止めない。




