19話 なに、勢いあまって、世界を滅ぼしてくれちゃってんだよ。あまりにも現実感がなさすぎて、俺、今、実は、怒ってないからね。パニック。ただのパニック。
19話 なに、勢いあまって、世界を滅ぼしてくれちゃってんだよ。あまりにも現実感がなさすぎて、俺、今、実は、怒ってないからね。パニック。ただのパニック。
ゴリゴリのガチで、砦は、『世界が終わろうと、どうでもいい』と思っている様子。
「無気力な現代っ子か。……流石に、この状況は、どうでもいいで片付けられねぇぞ。何人死んだと思ってんだ……普通に、何十億って数が死んでるぞ」
……ちなみに、ここまでの壮絶な闘いの途中で、『各国の軍隊による攻撃』というのも、当然あった。
暴れ回っている砦……と、センに向かって、
世界中から、戦闘機などを筆頭とした軍隊が送り込まれたが、
全部、砦によって、秒で撃墜された。
センは、自分に向けて攻撃してきた戦闘機も含め、
全てを、どうにか守ろうと頑張ったが、
……砦が『親の仇かってくらい、執拗に、戦闘機を破壊しようとする』ので、
結局、ほとんど守り切れなかった。
……今でも、たまに、戦闘機やミサイルが飛んできているが、
砦が、ハエや蚊を潰す勢いで簡単に屠っている。
……センは、一度、
ボコボコになった世界、軍、自分……
全てを見渡してから、砦に、
「てめぇ、マジで、ほんと……なに、勢いあまって、世界を滅ぼしてくれちゃってんだよ。あまりにも現実感がなさすぎて、俺、今、実は、怒ってないからね。パニック。ただのパニック。『たぶん、これ夢だろうな』って思っているから、まだ発狂していないだけで、『夢の可能性』が潰えたら、普通に気が狂うぞ、この状況」
「夢じゃないぞ。すべては現実――」
「あー、あー、きこえなーい」
両耳を両手でぺちぺちやって音を遮断するという、
子供の流儀で、現実逃避をぶちかます。
そんなことをしていると、
ヒュルヒュルと、軽快なリズムとテンポで、
核ミサイルが飛んできた。
人類側の最後の希望。
極限に追い込まれた際、人類が放つ、最後の一手。
……躊躇なく放たれた、
その核ミサイルを、
――砦は、
ペイっと、
片手で亜空間にしまい込むと、
そこで、サクっと爆発させてしまう。
どんなに強大な爆発でも、当たらなければどうということもない。
そこで、砦は、
「そろそろ、邪魔されるのも鬱陶しくなってきたな……」
そう言いながら、両手を空に向けて、
「舞い踊れ、幻爆の剣翼」
そう宣言するやいなや……
――世界中のあちこちで爆発が起こる。
悲鳴や爆発音は、数秒で止んで……
そこから先は、
人が消えたことによって起こる火事や爆発の音だけが響き渡る。
――『多分、今、人間が全滅した』
と、理解したセンは、
深いため息をつきつつ、天を仰いで、
「お前、これ……マジで、シャレじゃなく、あとで全部もとにもどせよ。どうにかしてもとに戻さないと……ガチでキレるからな。俺が本気でキレたら、本気でやばいからな。ただですむと思うなよ」
「センエース」
「まるで、クラスメイトみたいに、気軽に俺の名前を呼んでんじゃねぇよ、糞野郎!!」
そう叫びながら、センは、砦に特攻。




