16話 弱い俺が、強い君を殺す。それで、初めて、この物語は正しい終焉を迎える。正しい終焉を導くことができる者を、定義上の『主役』と呼ぶんだ。
16話 弱い俺が、強い君を殺す。それで、初めて、この物語は正しい終焉を迎える。正しい終焉を導くことができる者を、定義上の『主役』と呼ぶんだ。
(センくん……多くの人の『視点上』で、君は、間違いなく、絶対的な主役だけれど……でも違う。それは勘違い。集団催眠みたいなもの。……これは……本当は、俺が主役の物語なんだ。脆弱な俺が、最強の君を超えるまでを描いた感動のサクセスストーリー。物語っていうのは、弱い主人公が、強い敵を倒して、はじめて盛り上がる。君が主役だったら、盛り上がらないよ。だって最強なんだから)
蝉原は、トウシに連打を浴びせながら、
心の中で、続けて、
(誰の目にも明らかな最強……そんな君が勝ったって、『そりゃそうだよね。知ってた』で終わるだけ。物語の起伏が台無し。だから、俺なんだ。主役は俺であるべき。……弱い俺が、強い君を殺す。それで、初めて、この物語は正しい終焉を迎える。正しい終焉を導くことができる者を、定義上の『主役』と呼ぶんだ)
身勝手な『自分本位理論』を叫びながら、
蝉原は、一気に加速する。
暴走するオーラと魔力を丁寧に支配して、
全ての命を強烈に沸騰させていく。
トウシがみせた、ほんのわずかな、一瞬のスキに踏み込んで、
「凛打ぁ!」
イカれた火力を誇る左フックを、トウシの脇腹にぶちこんでいく。
……凛打は、バーチャ・ルカーノ・ロッキィが得意とする拳。
蝉原が得意とする殺神拳と、非常に相性がいい小技。
「ぐっ!」
小技で崩されたトウシ。
ガラあきになった顎に、
蝉原は、狙いを定めて、
「殺神覇龍拳!!」
凛打で崩して、殺神覇龍拳で浮かせる。
散々練習してきたコンボ。
ほかにも色々と試してきたが、
なんだかんだ、これが一番、『蝉原の性根』との相性がいい。
『真っ当に突き詰めていく』となると……結局のところは『相性』が最も大事。
蝉原は、『締めの技』を繰り出すため、
両手をクロスにした上で、頭の上まで掲げ、
「ナイトメア・イビルノイズ・カンファレンスコールッッッ!!!!!」
両手を翼のように広げながら叫ぶ……と同時、
『異常な量に分裂する黒い球』が、
八方から、埋め尽くすように、
トウシへと襲い掛かる。
流石のトウシも、ここまで丁寧にコンボを繋がれてしまえば回避は出来ない。
カンファレンスコールの直撃をくらって血反吐を吐き散らかすトウシ。
「がっはぁあああああっ!!」
それなりに体力を削られた……が、
「ぐぅっ…………ふぅ……」
トウシは、スチャっと、すぐさま体勢を立て直して、
蝉原を睨みつけ、ニタリと笑い、
「……派手な技やけど、思ったよりダメージがないな……おどれ、もしかして、非力なんか?」
と、そんな風に煽ってくるトウシに、
蝉原は、ニコっと笑って、
「ああ、まさに、君の言う通り。俺は脆弱な子犬みたいなもの。だから、どうか、できるだけ、お手柔らかに頼むよ」
その発言に対し、
トウシは、イラっとした顔をして、
ペっと、血痰を吐きながら、
「……どういうつもりや、蝉原。……言うとくけど、おどれが、手を抜いとるコトぐらい、わかっとるぞ」
今回の29話もたくさんの読者様にご購入いただけて、心から嬉しく思っております!!
ブーストで支援してくださっている読者様……本当にありがとう……っ!!
その期待と想いに、少しでも応えるために、マジでずっと、頑張り続けております!
次回からは、漫画の作り方を少し変えたりもしております。
根本的な技術を底上げするのと並行して、色々な手法を勉強し、作品としての質を高めるためのチャレンジをくりかえしております。
「次回は、もっとよくなったものをお届けしたい」
と、最後の最後まで言い続ける勇気と根気を胸に、明日からもまた必死に狂気を積んでいく所存!!




