12話 『解放できる可能性があるからこそ、隔離システムを強固にすることができる』。完全に密閉された空間というのは逆に脆いんだ。
12話 『解放できる可能性があるからこそ、隔離システムを強固にすることができる』。完全に密閉された空間というのは逆に脆いんだ。
「――『ムジ〇ラの仮面』では、デクナ〇ツ城で、色々とゴチャゴチャした後に飛ぼうとすると、『デバッグメニューが出現する』というバグ技がある。デバッグメニューを操作することで、全てのアイテムを入手したり、ハートをMAXにしたり、本来入手できないアイテムを入手出来たりするんだけど……トウシは、そんな感じのことをやったんだよ」
「……???」
「トウシの隔離空間は、『アイテムショップの管理システム』とも連携しているから……携帯ドラゴンは、その経路で入手したんだろうね」
アイテムショップの景品の中には、実は、
『一定のポイントを払うことで、トウシを解放できる』というのが混じっている。
99ポイント 魔法の危ない水着。
100ポイント 魔法の携帯ドラゴン。
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――ウンコナウ――
――アンノウン――
――アンノウン――
~~~
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アンノウン――
――アノヤロウ―― ←コレ!!
――アンノウン――
100極ポイント 魔法の記憶。
「……『解放できる権利がアイテムショップの中にある』……それをアリア・ギアスとして組み込まないと、トウシをここまで隔離するのは難しい。『解放できる可能性があるからこそ、隔離システムを強固にすることができる』。完全に密閉された空間というのは逆に脆いんだ。『レンジでチンをする時に、袋を開けるか、穴を開けておかないと爆発する』だろ? あんな感じさ」
「……」
「俺が空けたのは小さな穴。密閉空間を強固にするために仕方なくあけた、小さな、小さな穴。本来であれば、その穴を通って逃げ出すことなんて絶対にできない……けど、トウシぐらいの異常な天才超人になると、その小さな穴から逃げ出すことも容易……なんという理不尽なんだろうね。ふふふふ」
そんな風に笑っている蝉原を見ながら、ショデヒは、渋い顔で、
「しょ、正直、何を言っているのか、全然わからないんだが……」
「わからないかい? まあ、実のところ、俺も、イマイチよくわかっていないから、君と大差ないんだけどね。……『言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信で、田中トウシは、携帯ドラゴンを手に入れた』と思っていればいい。そして、そのままの勢いで、俺達に特攻を仕掛けてきたということだよ、ショデヒ」
「理由はイマイチわからんが……それで……ど、どうするんだ?!」
「迎撃するしかないよね、そりゃ、もちろん」
そう言いながら、蝉原は、ショデヒの首を掴むと、
「君の特質を借りるよ」
「えっ――」
返事を聞く前に、蝉原は、ショデヒをゴクンと丸のみしてしまった。
だいぶグロい、その絵面を前に、トウシは、普通に吐きそうになる。




