11話 『空間と調和して、コスモゾーンに意識を接続させ、デバッグメニューを見つけ出してしまう手腕』が、異常に高すぎて、普通にお手上げ。
11話 『空間と調和して、コスモゾーンに意識を接続させ、デバッグメニューを見つけ出してしまう手腕』が、異常に高すぎて、普通にお手上げ。
ずっと、困惑が止まらないショデヒに視線を向けることなく、
蝉原は、フラットな表情で、軽い前置きをしてから、
トウシに、
「どうせ聞いたってわかんないんだろうけど……一応聞いておこうか。絶対に理解できないから、別に教えてくれなくてもいいけど……田中トウシ、君は、なぜ、携帯ドラゴンをもっているのかな?」
「……『何もない領域』という概念に固執しすぎたな。そのせいで、色々とバグだらけやったで。まあ、ワシやないと見つけられん『小さな穴』ばっかりやったけど」
(その小さな穴をふさいだところで、結局、何かしら、手段を見つけて脱出してしまうんだよなぁ。『空間と調和して、コスモゾーンに意識を接続させ、デバッグメニューを見つけ出してしまう手腕』が、異常に高すぎて、こちらが、どれだけ『疑似空間を作成する手腕』を底上げさせても意味がない。……おまけに、『銀の鍵を使うたびに、リセットされているはず』なのに、空間と調和するまでの時間がどんどん短くなっている……もう、本当に意味が分からない……センエースも、田中トウシも、どっちも異常すぎる……)
蝉原が、心の中で、タメ息をついている間、
トウシは、
「人為的な空間作成の基盤を担っとるプログラム言語が有能すぎて、パターン解析されたら、楽勝にハックされてまう。セキュリティインシデントを意識するあまり、安易なマクロパターンを連鎖しすぎて、逆に――」
ツラツラと、概要を説明するトウシ。
「平坦な幾何学的領域外GISネットワークへの接続を容易にしとる。5次元オブジェクトのカスタムインストラクションは、AIDDマクロで組まんと――」
当人的には分かりやすく説明しているつもりらしいが、
聞いている蝉原とショデヒの顔はどんどん曇っている。
「――で、ワシが産まれたってワケや」
最低限の証明が完了したところで、
ショデヒが、思いっきり眉間にシワを寄せて、
蝉原に、
「つ、つまり……どういうことだ?」
「わからないのかい? ようするに、彼は、『へのつっぱりはいらんですよ』と言っている」
「あん?」
蝉原は、くくっと、楽しげに笑ってから、
「俺の手で作成された、隔離用の空間は、簡単に言えば、『ゲームの3D空間』みたいなもの。ようするに、『コスモゾーンの空間管理システム』で運用されている『現実の空間』よりも『かなり脆弱』なんだ。負荷値の高い多段ムーブで圧力をかけられると、制作者の意図しないバグがおきる。マリ〇64のケツワープみたいなもの……いや、それは例えとして不十分。もっと適切にたとえると……そう……たとえば、『ムジ〇ラの仮面』では、デクナ〇ツ城で、色々とゴチャゴチャした後に『ポーズを開いてマップ画面のRにカーソルを合わせて大翼の歌を吹く』というのを63回繰り返してから飛ぼうとすると、『デバッグメニューが出現する』というバグ技がある。デバッグメニューを操作することで、全てのアイテムを入手したり、ハートをMAXにしたり、本来入手できないアイテムを入手出来たりするんだけど……トウシは、そんな感じのことをやったんだよ」




