8話 お前さえいなければ俺は無敵。無敵の俺は、自由に何でもできる。なんでも手に入る! でかい家! いい車! うまい酒!
8話 お前さえいなければ俺は無敵。無敵の俺は、自由に何でもできる。なんでも手に入る! でかい家! いい車! うまい酒!
「いずれ貴様は、確実に死ぬ。私の手によって殺される。……そして、貴様は別の世界に転生する。貴様が他の世界でのんびりしている間に、私は、この世界を終わらせる。それで、この世界は……第一アルファはおしまいだ。この世界の人間にとっては悲劇だろうが……貴様にとっては、大した問題でもない。そうだろう? 貴様は事実、死にはしない。無限に転生し、転生した先で、自由に好き放題できる」
砦は、諭すような口調で、
続けて、
「貴様は、この私に、これだけ対抗できるだけの力を持つんだ。どの世界にいっても、敵などいない。基本的に、貴様は、無敵で、完璧で、最強」
「……」
「死んで楽に、自由になれ、センエース。そうすれば、貴様は、全てを手に入れる。別に、私は、貴様を追って、別の世界も破壊しようなどとは考えていない。私の目標はあくまでも、この世界で貴様を殺すことだけだ。貴様を殺し、この世界を終わらせて……それで、私の全部が終わる」
「……」
「センエース。この世界における貴様は、苦しんでばかりだった。しかし、異世界でなら、全てが貴様の思うままだ。世界の全てを手に入れて、自由に、奔放に、ワガママに、好き放題に生きるがいい」
「……はは」
「何がおかしい?」
「いや、なに……俺も、そっちの方がいいってのは、重々、分かってんだよ」
「……」
「俺は……賢くはないが、バカじゃないんでね。そっちの方がいいってことぐらいは分かってんだ。俺は死んでも転生できる。転生先にお前はいない。お前さえいなければ俺は無敵。無敵の俺は、自由に何でもできる。なんでも手に入る! でかい家! いい車! うまい酒!」
「……ならば――」
「でも、異世界には、『お前を叩き潰せるチャンス』がねぇ」
「……」
「もう一度、この世界に転生しようにも、俺の死後に、お前が全部壊してしまうらしいから、転生できるとは思えねぇ。何かしら、異世界で『無限転生の制約を超越したドラゴンボ〇ル』的なのを見つけて、お前のもとに強制転移するってことも出来なくないかもしれないが……わざわざ、そんな不確定要素に頼らなくても、今、必死に頑張ればいい。お前が目の前にいて、俺はまだ戦えるんだから。そうだろう?」
そう言いながら、センは両の拳をギュっと握りしめ、
「さあ、続きだ……殺し合おうぜ、砦才悟。俺は必ず、お前を殺す。後ろにいる膨大な数のお前も全部殺す。……そのついでに、お前に奪われたもんを全部取り戻す。完璧なトゥルーエンド以外に興味はねぇ。俺は、この世界で、全てを手に入れる」
★
――認知の領域外で、
でかいエアウィンドウに表示されている『センエース』と『砦才悟』を観察している、『蝉原勇吾』と『ショデヒ』の二人。
ショデヒが、
「……す、すばらしい。オメガ・ニャル……トリデサイゴ!! はははっ! 倒せるぞ! あれほどの強さがあれば、センエースを圧殺できる!」




