7話 現状の実力差を考えると、圧倒的に私が有利なのに……殺し切れる気が、あまりしない……これは、あるまじき禁忌だ。世の理(ことわり)を完全に無視した理不尽。
7話 現状の実力差を考えると、圧倒的に私が有利なのに……殺し切れる気が、あまりしない……これは、あるまじき禁忌だ。世の理を完全に無視した理不尽。
現状は、完全に詰んでいる。センに勝機は一切ない。そんな絶望的状況下で、砦は、センに両手を向けて、
「――祖となる神の異次元砲――」
明白な絶望を放った。強烈な一撃。輝く照射。その凶悪すぎる一手に対し、
センは、
「ふぬらぁあああああああああああああああああああっ!!」
千切れるほどに身をよじって、
全力の緊急回避を決め込んだ。
よけきれずに、腕を飛ばされたが、
しかし、腕一本ぐらいなら、すぐに再生させることが可能。
センエースの生命力は伊達じゃない。
センは、煽り顔で、
「はっはー! オメガバスティオンが通用しなかろうと、当たらなければどうということはない!」
そんなセンに、
砦は、
「そうだな。確かにそうだ。……では、こうすると、どうだ?」
そう言いながら、砦は、地表の、人が多そうな都市部に狙いを定めて両手を向けると、
「貴様が体を張って止めないと、大勢が死ぬぞ。さあ、どうする? ――祖となる神の異次元砲――」
発射された死の照射。
センは、渋い顔で、
「ちぃっ!!」
と、爆発音みたいな舌打ちをして、
照射に向かって飛び込んでいく。
そして、都市の盾となるべく命を張った。
ド正面から、祖となる神の異次元砲を受け止めたセン。
ズガガビビグググガァアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!
と、命の全部が吹っ飛ぶような衝撃が全身を襲う。
凶悪な一撃だった……が、
今回、センの肉体は消失することはなかった。
……前回は、『オメガバスティオンで消せる』と思っていたので、
肉体の方には、一切、オーラを回していなかったが、
今回は、完全に受け止める気満々だったので、
えげつない大ダメージは受けたものの、
完全消失までは至らなかった。
「うっ……ぐぐぐっ……うぅ……はぁ……はぁ……がはっ……ごほっ……」
ズッタボロの肉体で、今にも死にそうなのに、
それでも、センは、砦を睨みつけ、
『もう一発撃ってきたとしても、普通に盾として防いでやんぞ』の意志を示す。
それを見て、砦は、
「……現状の実力差を考えると、圧倒的に私が有利なのに……殺し切れる気が、あまりしない……これは、あるまじき禁忌だ。世の理を完全に無視した理不尽」
ため息交じりにそう言ってから、
「ただ、それは、私が、感傷的に、『殺し切れる気がしない』と感じているだけの話。現実問題、このまま続けていれば……いずれ貴様は、確実に死ぬ。私の手によって殺される。……そして、貴様は別の世界に転生する。貴様が他の世界でのんびりしている間に、私は、この世界を終わらせる。それで、この世界は……第一アルファはおしまいだ。この世界の人間にとっては悲劇だろうが……貴様にとっては、大した問題でもない。そうだろう? 貴様は事実、死にはしない。無限に転生し、転生した先で、自由に好き放題できる」




