20話 砦の魔法は、まるでこの世の全てを終わらせる息吹。空を切り裂くようにあふれ出た隕石の群れが、絶え間なく慟哭をあげる。
20話 砦の魔法は、まるでこの世の全てを終わらせる息吹。空を切り裂くようにあふれ出た隕石の群れが、絶え間なく慟哭をあげる。
「砦、てめぇ! めちゃくちゃ強いじゃねぇか! 泣きそうだぜ! てか、俺、気付けば、しくしくと泣いているぜ! よくも、俺を泣かせやがったな!」
どうでもいい言葉を叫びつつも、センは砦の懐に飛び込んで、
「おんどりゃぁあああ! 閃拳っっ!!」
渾身の左拳を、砦の腹部に叩き込む……が、
砦は涼しい顔で、
「ふんっ」
腹の底に力を入れつつ、
センの側頭部に、強烈なハイキックをぶち込んでいく。
「どわぁ!!」
グラリとよろめくセン。
気絶する寸前で、頭を左右に何度も振って、
意識をムリヤリつなぎとめると、
ギッっと、強い目で、砦を睨みつけ、
「す、スピードは相当なもんだ。だが、パンチには重さが足りないようだな」
と、明確な、やせ我慢のファントムをぶちこんでいく。
そんなセンの言葉に対し、特に反応することなく、
砦は、両手を天に向けて、
「煉獄・不滅彗星ランク1000」
えげつないほど凶悪な魔法を使った。
空から降り注ぐ山ほどの地獄。
砦の魔法は、まるでこの世の全てを終わらせる息吹。
空を切り裂くようにあふれ出た隕石の群れが、絶え間なく慟哭をあげる。
灼熱を装飾したような盲愛の輝きが、
群れをなす烈日のごとく、
無数に膨らんでは、盛大に弾けて飛んでいく。
唐紅の荘厳なテイルを残しながら、
黒檀を瑠璃に、
瑠璃を紫銀にと鮮やかに、
高貴な七色へと変化していく様は、
まるで光沢の強いベルベットみたいで、
寂しがり屋の無を強引に包み込み、
すべての天を、
神様の絵画にしていく。
「こ、このクソバカが……っ」
センエースは、慌てて、
『見渡す限り一面に降り注ぐ無数の隕石』を、どうにか対処しようと動き出す。
このまま放っておけば、大量の人間が死んでしまうから。
――が、そんなセンに、
「――【EZZパニッシャー】――」
砦は、拘束魔法をかけていく。
センはブチギレ顔で、
「くそがぁ! こんな魔法一つで、今の俺を止められると――」
急いでぶち破ろうとする。
思いっきり力を込めることで、EZZパニッシャーは、バリィンっと、砕け散った……のだが、
しかし、砕けた破片が、意志を持っているかのように、センへと絡みつき、
また、センをしっかりと拘束してくる。
「壊されることが前提のタイプか! くそ! ふざけた仕様でカスタムしやがってぇ!」
さらに、力を込めて、なんとか破壊するのだが、
砦のEZZパニッシャーは、さらに細かい破片となった上で、
より強烈に、センに絡みついて、動きを封じようとしてくる。
「うぜぇええ!! ドリームオーラ・オメガバスティオン!」
キャンセル技で、EZZパニッシャーを消滅させようとするが、
しかし、消滅させても、また復活して、絡みついてくる。
「うぇええ?! オメガバスティオンでも、対処できないのぉ?!」




