18話 俺は精神的に、ずいぶんと強くなった。確実に、強く、タフになっている。俺は俺にできることを全部やる。そして、最後の最後まで、センくんに食らいつき続ける。
18話 俺は精神的に、ずいぶんと強くなった。確実に、強く、タフになっている。俺は俺にできることを全部やる。そして、最後の最後まで、センくんに食らいつき続ける。
「本物の相手は、本物にしかできない」
ギリっと奥歯をかみしめる蝉原。積み重ねてきたものを、どうにか誇りに思おうとする。
でも、時折、『自分は結局のところ、センエースに寄りかかっているだけ』という事実を前に折れそうになる。
「積んだ時間の量では……絶対に叶わない。それは分かっている。けど、だからって、そのステージから逃げていては、センくんの敵にはなれない」
だから、センエースに寄りかかりながらも、
必死に、200億×1万……『200兆年』を積んできた。
「今の俺は……ただイキっていただけの、幼かったころの俺とは違う……俺は精神的に、ずいぶんと強くなった……確実に、強く……タフになっている。俺は俺にできることを全部やる。そして、最後の最後まで、センくんに食らいつき続ける」
★
――『家が砕けた』と気づいた時には、もう遅かった。
センの家は、完全に破壊され、そして、蒸発して跡形もなくなった。
巨大な地震……あるいは、地球の爆発でも起きたのかという衝撃。
だが、違った。
天災ではなく、人災。
空には、一人。
――『狂気を纏った怪人』が、剣の翼をはためかせて、優雅に飛んでいた。
……そいつの顔を見て、センは、
「……砦……?」
ボソっと、彼の名前を口にする。
空を舞っているのは、センエースのクラスメイトの一人……砦才悟。
平凡な顔面、平凡な肉体、平凡な資質。
量産型と言って、なんら差し支えない、どこにでもいる凡庸な男子高校生。
少なくとも、クラスにいるときは、そういう男だったのだが……
今の砦から放たれているオーラに、凡庸さはかけらもない。
研ぎ澄まされた、キレッキレの波動。
『200億年』と『多くの荷物』を積んできたセンエースに、まったく劣っていない、バッチバチの覇気。
そして、ゴリゴリに膨れ上がった殺気。
砦は、明らかに、殺意のある目をして、空から、センを見下ろしていた。
砦が放つ『殺意の波動』をもろにうけたセンは、
生存本能を爆裂に刺激され、
ほとんど反射的に、右手にヨグソードを顕現させると、
血走った目で、砦を睨み、
そのままの心の勢いで、
ダッッ!!
と、力強く飛び出し、
「涅槃・龍華・煉獄一閃」
一切の躊躇なく、
砦を一刀両断しようと、
ヨグソードを横に薙いだ。
その一撃は、
上位のアウターゴッドですら、余裕で切り伏せられる無上の一撃だった。
しかし、砦は、片手で、なんなく、
センの一閃を……ヨグソードを受け止めると、
「いい剣だな」
と、安易な感想を口にしてから、
センの腹部を思いっきり蹴り飛ばしていく。
「ぶふぉぉっっ!!」
とんでもない衝撃で内臓が破裂した。
一瞬で意識を持っていかれそうになる。
鋼の根性で、どうにか、奥歯をかみしめ、
意識を保つと、
「ぐ、くそがぁ……てめぇ、どういうつもりだ、ごらぁ……人様の家を破壊しやがって……」
と、ここで、初めて、砦に対して、
『アナーキーすぎる行動の理由』を尋ねていく。




