16話 『タナカレイナの荷物を背負ったセンエースの苦しみ方』が、星桜の時とは、少々違うようだが……蝉原、貴様が何かしたのか?
16話 『タナカレイナの荷物を背負ったセンエースの苦しみ方』が、星桜の時とは、少々違うようだが……蝉原、貴様が何かしたのか?
「うわ、これ、キッツゥ……え、なに、これ……なんで……一回死んでキャッシュはクリアされたのに……レイナに圧縮もしてもらったのに……なのに、えぇ……なんか……きつ……」
現状、センは、『シンプルなしんどさ』という点で、異常なキツさを感じている。
その正体が分からず、センはベッドの中で、ひたすらに、もだえ苦しむ。
★
――認知の領域外で、
でかいエアウィンドウに表示されている『ベッドでもだえ苦しんでいるセンエース』を観察している、
『蝉原勇吾』とショデヒの二人。
ひたすらに苦しんでいるセンから、視線を外さず、まばたき一つしないまま、蝉原は、ボソっと、
「……ふふ……苦しんではいるようだけれど、所詮は、この程度か。…………おっと……なんだかんだ、苦しみつつも、眠ってしまったね。寝苦しそうではあるけれど……所詮は、『眠れる程度』ということ……すごいね。俺は重度の不眠症になって発狂したというのに」
『センエース』が『自室で、のたうちまわりつつも、眠ってしまった様子』を尻目に、
ショデヒが、蝉原に、
「……『タナカレイナの荷物を背負ったセンエースの苦しみ方』が、星桜の時とは、少々違うようだが……蝉原、貴様が何かしたのか?」
「ああ。タナカレイナの呪いに、『俺が積み重ねてきた苦しみ』を混ぜておいた。ソウルゲートで200億年、センくんと一緒に頑張ってきた地獄……その苦しみを」
蝉原は、『蝉原デスガン』として、
センと一緒にソウルゲートに入り、
ヨグと交渉して、
センと闘い続けた。
蝉原は、ソレを、この時点で、
――『1万回』ほど、くりかえしている。
タイムリープを可能とする奇跡のアイテム『銀の鍵』を使い、
何度も、何度も、時間を巻き戻し、
膨大な地獄を積み重ねた。
「原初の世界で色々と経験して、ずいぶんと精神的にタフになったけれど……それでも、200億年の1万回……『200兆年』は……きついね。きついというか、普通にやっていたら無理だった」
確かに、蝉原勇吾は、精神的に大きく成長した。
とはいえ、限度というものがある。
センエースのように、『なんだかんだ無限』というわけではない。
センエースのように、『気合いで大体のことは解決します』というわけにはいかない。
センエースのように、『絶望なんて飾りです。常識人にはそれが分からんのです』というスタンスを通せるほど強くはない。
「今の俺だと、『自力の限界』は……どんなに頑張っても『30億年ぐらいをワンセット』が限度。……200億×1万……。この数字は、『ヨグの協力』と、『センエースという名の、寄りかかることができる精神の杖』があって、初めてできたこと。……だから、俺は俺を誇ることができない」
別に誇ってもいいが、
センエースを知っているせいで、
『比べたら大したことがない』という公式&解が出来上がってしまう。




