14話 今回ばかりは、流石にぐうの音も出ないだろ。さあ、目もくらむような大量のポイントをよこせ。そして、アイテムを購入させろ。
14話 今回ばかりは、流石にぐうの音も出ないだろ。さあ、目もくらむような大量のポイントをよこせ。そして、アイテムを購入させろ。
「首トンと同じ原理で、脳を揺らして気絶させただけっすよね? このバカガキ、ケガの一つもしてないっすよ。衝撃を与えられたコメカミが、多少赤くなっているだけで」
「殴って意識を奪っているんだ! どっちだろうと一緒だ! というわけで、俺は、めでたく、ヤバいサイコとして社会的に認定されました! 拍手! ――今後、女学生は、決して俺に近づいてはいけない! いいな!」
――『テクニカルな手法(レイナを煽って上手に嫌われる)』が上手くいかなかった際に、焦って『パワープレイ(とにかく力の限りパワハラを叫ぶ)』に走ってしまう。
……それは、愚かな凡人が、稀によく陥ってしまう悪手中の悪手。
女性陣は、センの『むりやりにでも嫌われようとするムービング』を見て、
『いや、それで、あなたに生理的不快感を抱くのは無理があるが……』
と呆れつつ、同時に、
『流石にちょっと、バカすぎるな、このダメ男……はやくなんとかしないと』
と、ダメ息子に対する母親的な、母性溢れる親心を感じてしまう。
まあ、ようするに、センの行動は、全部裏目に出ているということ。
そのことに、センだけが、いつも気づかない。
ある意味で、最善手を打ち続けているとも言えるが、
……まあ……うん……
――と、そこで、
空に、でっかいエアウィンドウが表示された。
そして、そのエアウィンドウに、
歪なピエロの仮面をかぶったバカが表示される。
ピエロバカ――『ショデソウ』は、たんたんと、
「……トルネンプラと、イー・ト・ラーを撃退してみせるとは恐れ入った。見事だ」
そこで、センは、かぶせるように、
「今回ばかりは、流石にぐうの音も出ないだろ。トルネンプラは、眷属ごと、俺が粉砕したし、イー・ト・ラーも、毘沙門天に丸のみさせた。シュブだって、俺が支配したわけだから……まあ、倒したといっていいだろう。というわけで、さあ、目もくらむような大量のポイントをよこせ。そして、アイテムを購入させろ」
「それは無理だ」
「ほう……」
センはピキりながらも、
「まずは理由を聞かせてもらおうか。殴り込みにいくのはそれからだ」
「まことに申し訳ありませんが、アイテムショップは、システムが破損したので、使えなくなりました。ご了承ください」
「……ふ、ふふふ……まったく人をイライラさせるのがうまいピエロだ」
センは、一瞬、怒りと呆れが混じった顔で、ピキり散らかしたものの、
しかし、ギリギリのところで、アンガーをマネジメントして、
「システム破損とは……それは……いったい、どういうことですか……ショデソウさん」
「質問は許可しない。貴様らは、ただゲームに参加するだけ。クリアできれば生き残ることができるが、失敗すれば死ぬ。それだけだ」
そこで、ブチっとキレたセンは、
疲れている体にムチを打って、認知の領域外に飛び込み、
無数にあるダミーコントロールルームを、盛大に破壊しまくっていく。




