12話 ぼくが一番、うまく、呪いを使えるんだっ! というわけで、邪魔をするな。俺の最強への道を邪魔するやつは、絶対に許さない。絶対にだ。
12話 ぼくが一番、うまく、呪いを使えるんだっ! というわけで、邪魔をするな。俺の最強への道を邪魔するやつは、絶対に許さない。絶対にだ。
センは、自分の中にいるレイナを、レイナ本体へと、無慈悲に戻していく。
こうして、完全に元の状態に戻ったレイナ。もとに戻ったレイナは、最初、センと一つになることを望みはしたが、センが頑なにそれを拒むので、
「ほな、あたしから奪い取ったやつ、全部、返して。その重荷はあたしのもんやから、押し付ける気はない」
と、星桜の時と、まったく同じ反応を示す。
ここらで、センの荷物事情を、整理しておく。
レイナから荷物を奪ったことで、『許容量』を超えてしまい、
普通に絶命してしまったわけだが、
一度死んだことで、余分なキャッシュが削除され、
メモリ領域にバッファができた。
さらに、レイナをCPUにした際に、
可能な範囲で重荷を圧縮してもらったので、
まだまだ、荷物を背負えるようになった。
とはいえ、しんどいことに変わりはないので、
レイナは、センの荷物を少しでも少なくしようと、返却を申し出ているわけだが、
「お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの。ああ、残念。ジャイアニズムが出てしまった。というわけで、この話はおしまいだ」
「圧縮したけど、元々が大きすぎるから、今も、普通にしんどいはずや。ただでさえ、星桜姉の荷物を背負って、心ボロボロやのに、その上で、あたしの重たい荷物まで、追加で背負ったら、あなたが壊れる」
「さっきご覧いただいた通り、お前の荷物を背負ったら、その分だけ重くなって強くなれた。この荷物は、まあ、確かにしんどいが、うまく扱えば強くなれる。ぼくが一番、うまく、呪いを使えるんだっ! というわけで、邪魔をするな。俺の最強への道を邪魔するやつは、絶対に許さない。絶対にだ」
頑なセンを見て、レイナは、つい、
強がることすらできなくなり、
ただただ、弱さだけが浮き彫りになる涙目になり、
「な、なんで……あなたは、どうして、そこまで……」
と、センに対しての、純粋な疑問をぶつけていく。
お互いの『中』で、お互いの魂魄に触れ合ったことで、レイナは、センエースを多少は理解できたのだけれど、しかし、どうしても分からない部分があまりにも多い。
愛情とか誠意とか高潔さとか、そんな生易しい言葉では理解できない狂気が、センエースの中には根付いている。
それに触れて、理解しようとするのだけれど、
しかし、理解しようとした分だけ、
どんどん遠くなって、逆に誤解してしまう……そんな不安感に陥ってしまう。
センは、レイナの疑問符に対し、
少しだけ考えてから、
「か、勘違いしないでよねっ。……別にあんたのためにやったわけじゃないんだからっ。ちょっとヒマだっただけなんだからねっ」
と、真剣に考えた上での結論を出した。
ここだけ切り取ると、誰がどう見ても、あまりに不誠実な対応……だが、
全体を通してみると、あまりにも雅すぎる対応。




