10話 もう一度殺せば……貴様は、もう、私の邪魔はできない。転生復活してしまうが、高い確率で異世界に転生し、その世界から、この世界に来ることは出来ない。
10話 もう一度殺せば……貴様は、もう、私の邪魔はできない。転生復活してしまうが、高い確率で異世界に転生し、その世界から、この世界に来ることは出来ない。
「俺に刻まれた『無限転生』は、レイナが違法ダウンロードした『真・無限転生IIIノクターンスパイラル』の、だいぶ劣化版でなぁ。……転生する際に、ステが強化されるわけでもないし、次、死んだら、完全ランダム転生で、『どこ』の『何』に転生するか事前に予測することもコントロールすることも不可能。『同じ世界』で転生することもなくはないが、基本的には、異世界で転生するそうだ」
そのセリフを聞いたイーは、
「ほう……もう、この場で復活することは出来ないのか」
「そういうこと。おまけに、鬱陶しいことに、無限転生を所有している間、俺は、自力で異世界へと移動することが出来ないっぽい。仮に、Aという異世界に転生した場合、死ぬまで、そのAから出られない。その縛りがあるせいかどうか知らんけど、不老不死も獲得できない。……他にも、いくつかデメリットがある。ちなみに、これらを説明することも、『レイナの左手に転生するための条件の一つ』だったりする。暴露のアリア・ギアスってやつだ」
「もう一度殺せば……貴様は、もう、私の邪魔はできない。転生復活してしまうが、高い確率で異世界に転生し、その世界から、この世界に来ることは出来ない……そういうことだな?」
「そういうこと。おりこうさんだな。一発で理解できるだなんて」
「……貴様さえいなければ、私の邪魔ができる者は存在しない。貴様を殺し、世界を終わらせる」
「あ、ムリムリ」
「……あ?」
「実は、レイナのフラグメントを、少しだけ奪い取っているんだ。大半は、まだ、お前の中にあるが……一部は奪い取ることができた。その上で、俺のCPUになってもらっている」
「……それがどうした。多少賢くなった程度で、『全てを持つこの私』に勝てるわけ――」
「サンスクリットアライブ、起動」
「っっ?!」
「なんでかは知らんけど、俺の中にいるレイナの方が、テメェの中にいるレイナよりも、サンスクリットアライブで『強烈な権限を行使できる』っぽいぜ。これに関しては、正直、マジで、意味わからんが、実際そうなんだから仕方ない」
当たり前の話。
サンスクリットアライブは愛の奇跡を現実に変える力。
『所詮は殺意でしかない歪んだ感情論』と、
『昇華された原初の愛』では、
後者の方が、質が高くて当然。
だが、センは、それを理解することができない。
なぜなら、アホの子だから。
あと、童貞だから。
――センは続けて、
「今から、俺の中のレイナに、高性能なスペシャルを、根こそぎ違法ダウンロードしてもらうって手もあるが……それより、もっとシンプルで気分のいい方法がある。てめぇが違法ダウンロードしているスペシャルを機能停止にしてもらうって方法だ。チートを、チートでかき消してしまえば、勝敗は、実際の腕前で決まることになる。さあ、無粋なスペシャルに頼る眠たいクソゲーはやめて、ガチンコで原始的に殴り合おうや」




