8話 たかが異次元砲一発程度なので、死ぬことはおろか、大ダメージを負うことすらなかったが、あまりにも意味不明な現状に、理解が及ばず、あたふたしてしまう。
8話 たかが異次元砲一発程度なので、死ぬことはおろか、大ダメージを負うことすらなかったが、あまりにも意味不明な現状に、理解が及ばず、あたふたしてしまう。
イーは、輝木の体を何度も踏みつける。何度も、何度も、何度も踏みつけて……けど、輝木の目は曇らない。ずっと、殺人鬼の目でイーを睨み続けている。
「流石に不快になってきた。見下されたように感じる。なぜだか分からないが……とにかく不愉快だ。許しがたい」
イライラした顔で、そう言うと、
「別に、毒能力などいらない……そんなものなくても、私は完璧な強さを持っている」
そう言い捨てて、
輝木に両手を向けると、
「死ね、異次元砲」
サクっと、輝木を殺そうと、
莫大な威力の照射を放った。
眩い光が、
輝木の全部を食い尽くそうと襲い掛かる。
イーは、『確実に輝木を殺した』と思ったのだが、
しかし、放たれた照射は、
輝木に当たる直前で、
まるで意志を持っているみたいに、
ギニャンッ!
と、急激に進路を変更。
ほとんど直角に曲がった異次元砲は、
鏡にあてた光みたいに、クク、ククっと、
鋭角に、何度も空中で、ひん曲がり、
最終的には、術者であるイーの顔面に、
ズバァアアアア!!
と、ぶち当たった。
「ぐっっ!! はぁ?!」
訳が分からず呆けているイー。
たかが異次元砲一発程度なので、
死ぬことはおろか、大ダメージを負うことすらなかったが、
あまりにも意味不明な現状に、理解が及ばず、あたふたしてしまう。
「ど、どういうことだ?!」
自分の両手を見ながら、自分自身に問いかける。
すると、
自分の右手が、意志に関係なく動きだし、
膨大な魔力を、自分の左手に向かって放出した。
「ぐぁあああああっ!!」
自分の右手に吹っ飛ばされた、自分の左手。
宙に放り出された左手は、舞い散るように、
ヒラヒラと、空中で揺れて、
そして、ふいに、
バっと開いて、イーを掌でロックオンすると、同時、
『甲の部分』にニュイっと口が現れた。
その手の甲にある口を目一杯開いて、
「異次元砲!」
と、顔面偏差値48みたいな声で叫ぶと、
『イーから切り離された左手』から、膨大な火力の異次元砲が、
『左手の本体であるはずのイー』に向かって放出される。
「うおぉおおっ!!」
あまりにも唐突かつ突飛すぎる現象に、
イーは回避もままならず、無様に直撃。
左手が放った『顔面偏差値48っぽい異次元砲』は、
先ほどの、『輝木に放ったのにUターンしてきた異次元砲』とは比べ物にならない火力をしており、
直撃をくらったイーの腹部は、『でかい穴あけパンチ』でも使ったみたいに、がっつりポッカリと、直径50センチぐらいの風穴が空いていた。
「ぐっ」
イーは、瞬時に回復魔法を使おうとした……が、
(回復魔法が発動しない……異次元砲にバラモウイルスを乗せたのか……っ)
小癪な手を撃ってきた左手を、
イーは、キっと睨みつけ、
「強烈に歪なオーラ。猪口才な鬼手。……貴様……もしかして……センエースか……?」




