7話 大した精神力だ。まあ、別に、だからといって、その要素が欲しいとは思わないが。
7話 大した精神力だ。まあ、別に、だからといって、その要素が欲しいとは思わないが。
「人っていうのは、脆いね。……醜くて、ちっぽけで、足るを知らず、見栄っ張りで、おこがましく、厚かましく、そして、何より、薄情だ」
蝉原がダラダラとしゃべっている間、イーは、何度も、何度も、星桜の頭を踏みつぶしていた。まるで、『これから焼いて食べる肉』を叩いて柔らかくしているみたいに。
星桜が意識を失い、約束神化も解かれたところで、
イーは、星桜の頭を掴み上げて、ぺろりと食そうとした。
……が、そこで、輝木が、
「食事は、私を殺してからの方がいいと思いますよぉ。死ぬまで邪魔しますのでぇ」
などと言いながら、
『大量に召喚した魔法ナイフ』に『えげつない毒』を込めて、
「できたら、これで死んでほしいんですがぁ、まあ、死なないでしょうねぇ」
そうつぶやきつつ、空中に浮遊させている『大量の魔法毒ナイフ』を、一斉に発射する。
ヒュヒュヒュンっと空気を切り裂いて、イーのもとへと突進する毒ナイフの群れ。
イーは、冷めた目で、飛んでくるナイフを見つめていた。
そして、ナイフに対して何かしようとして……途中で、ダルそうに、何かするのをやめた。
ザクザクザクザクッ!
っと、全てのナイフが、イーの身体に突き刺さり、
ハリネズミみたいになって、
そして、
ナイフが刺さった箇所から、ジワジワと、
だんだん、『ヤバい感じの紫色』に染まってく。
毒殺まったなしの状況で、
イーは、
「ほう……『ウルズジョーカー(状態異常キラー)』が正しく起動しているのに……私を猛毒状態にしてみせたか。随分と質の高い毒だ。……その要素だけでももらっておくか。他は特に興味ないが」
などと言いつつ、
水にぬれた犬みたいに、ブルっと体を震わせて、
刺さっている全てのナイフを体から弾き飛ばすと、
状態異常回復系の魔法を全力で使い、体から毒を抜いていく。
完全な状態に戻ると、
イーは、輝木に、シッカリとした暴行を加えていった。
殴る蹴るを、重く厳しく。
重厚感のある拳で輝木の顔面を砕き、
切れ味するどい蹴りで全身の骨を粉砕していく。
しっかりと痛々しくボッコボコにされていながら、
輝木は、
「ぎっ」
一切ひるむことなく、奥歯をかみしめて、
殺人鬼の目で、イーを睨みつけ続ける。
そんな輝木の姿勢に対し
イーは、
「大した精神力だ。まあ、別に、だからといって、その要素が欲しいとは思わないが。私の中には精神系スペシャルの極みである『ジュリエット・ファイトスピリット(絶望的状況下でも闘志が無限に湧いてくる)』があるのでね。わかるかな? 私は全てにおいて、貴様の上位互換だということだ」
そう言いながら、
イーは、輝木の体を何度も踏みつける。
何度も、何度も、何度も踏みつけて……
けど、輝木の目は曇らない。
ずっと、殺人鬼の目でイーを睨み続けている。
「流石に不快になってきた。見下されたように感じる。なぜだか分からないが……とにかく不愉快だ。許しがたい」




