4話 これからは、『英雄による聖なる救済を待つ』のではなく、『人類が自ら立ち上がって勝利を勝ち取る』しかない。
4話 これからは、『英雄による聖なる救済を待つ』のではなく、『人類が自ら立ち上がって勝利を勝ち取る』しかない。
「ここから先、人類はセンくんに頼れない。……改めて考えると、この状況、人類的に、だいぶ地獄だけど……でも、仕方ない。センくんは死んでしまったんだから。この世界にはもう、ヒーローはいない」
「……」
「今まで、君たちは、センくんがいて当たり前だと思っていた節があるよね。センくんは死なないし、絶対に勝つし、結局、どうにかしてくれる。君たちは、そう思っていた。けど、違う。センくんは死んだ。終わったんだ、もう。『センくんに頼ることができた時代』は完全に幕を閉じた。これからは、『英雄による聖なる救済を待つ』のではなく、『人類が自ら立ち上がって勝利を勝ち取る』しかない」
そんな蝉原デスガンの言葉に、
久剣が、
「勝てない。あのイー・ト・ラーは強すぎる。田中や輝木じゃ、相手になっていない。本当に閃壱番が死んだのであれば……世界は終わった。閃壱番が死んだときに、世界も死んだ」
「ふふ……」
蝉原デスガンはおかしそうに笑って、
「人っていうのは、脆いね」
★
イー・ト・ラーの『中』で、
レイナは、ヒタヒタと歩いていた。
暗闇の中の、ゴールのない行進。
足元には命の水。
……足首ぐらいまで浸っていて、歩くたびにバシャバシャと音がする。
封鎖された開放的な空から、ビビッドな淡い光が注いでいる。
黒色の白色がてかてかと笑う。
周囲の全てが良く見えるけれど、視界の大半がふさがれている。
矛盾だけが答えの世界。
そんな、地獄にも天国にも思える、イー・ト・ラーの中で、
レイナは、あてもなく、ただ歩いていた。
目的も意味も理由もなく、
ただ、ひたひたと、レイナは歩いている。
すると、
そんなレイナの足を、
だれかがガシっと掴んだ。
レイナは、立ち止まり、
自分の足を掴んでいる者を見つめた。
足元には、
『顔面偏差値48ぐらいの男』が這いつくばっていて、
レイナの足首を掴み、レイナをにらみつけていた。
その顔面偏差値48は、
「なぜ、『イーなんとか』を野放しにする?」
と、責めるような口調で、そう尋ねてきた。
顔面偏差値48は続けて、
「……お前には『俺の200億年』と『ヨグソード』と『シュブ』をくれてやったはずだ。お前がヨグソを使えば、『イーなんとか』を支配することなんか、ノグソするぐらい簡単なはず」
「そんなことをしたら……」
「あん?」
「あなたが帰ってこんかもしれん」
「……」
「あなたがいない世界はいらない。そんな世界は、イーに壊してもらう」
「……今のお前は、完全な田中レイナだから、精神は正常なはずだ。なのに、なんで、『ソリッドな厨二のフリ』をする?」
「フリをしとるわけでも、嘘をついとるわけでもない。ただの本音。あなたがおるなら、壊れんでええけど、あなたがおらんなら、意味がないから壊れてしまえばええ。だから、あなたを戻すために……イーをのばなしにしておく。イーが暴れれば……あなたは、あたしたちを守ろうと、絶対に帰ってくる」




