2話 脆いな。数字としては、それなりだが、『それだけ』でしかないから、話にならない。無駄な抵抗は意味がないからやめておいた方がいい。
2話 脆いな。数字としては、それなりだが、『それだけ』でしかないから、話にならない。無駄な抵抗は意味がないからやめておいた方がいい。
「別にリーダーを気取る気はないけど、まとめ役はいた方がいいだろうから、今は俺が、君たちを牽引されてもらう。とりあえず、現状をまとめておく。レイナはセンくんに命を救われて死なずに済んだけど、結果、イーに奪われた。全てをもっている今のイーは非常に強いよ。どうにかして殺さないと、人類は終わる。状況は理解できたかな? じゃあ、張り切ってイーを討伐することにしよう。センくんという主力がいないのは大いに不安だけれど……でも、いない者のことを考えても仕方がない。俺たちだけで、どうにか頑張るんだ。まぁ、『俺たち』とは言っても、俺はただのデスガンだから、現状だと、糞の役にも立たないけれどね」
などと、蝉原が呑気に言っていると、
イー・ト・ラーが、ギラリと、
星桜を睨みつけ、
「貴様も、なかなか優秀だ。私の糧にしてやる。光栄に思え」
そう言いながら、星桜に襲い掛かった。
星桜は、
「っ……約束神化……」
まだ、『センエースの死』に対して、向き合いきれていないまま、
反射的に変身をして、イー・ト・ラーの暴力と向き合う。
イー・ト・ラーは、ファイティングポーズをとっている星桜の腕を、
小枝でもへし折るみたいに、
バギィっと、簡単に引きちぎる。
「ぐぅううっっ!」
根性とプライドで、どうにか叫ぶのを我慢する星桜。
そんな星桜を見ながら、
イー・ト・ラーは、引きちぎった星桜の腕を、
ちょっとしたおやつみたいにかじりながら、
「脆いな。数字としては、それなりだが、『それだけ』でしかないから、話にならない。無駄な抵抗は意味がないからやめておいた方がいい」
と、親切な忠告をしてくれるイー・ト・ラーに、
星桜は、激痛を我慢しながら、
「腕の一本を取ったぐらいで……随分と、調子に乗ってくれるやないっすか」
そう言いながら、欠損治癒で腕を生やす。
と、そこで、輝木も、
「――約束神化」
サクっと変身して、
オーラと魔力で、イー・ト・ラーを威圧していく。
2対1になったイー・ト・ラーは、
不敵に微笑んで、
「貴様も数字だけはそこそこ……しかし、まったくもって無意味。今の私の力は、貴様らの想像の範囲外にある」
そう言いながら、イー・ト・ラーは、ぐつぐつと、オーラを底上げしていき、
シュババ、ダッっと、
軽快かつアクロバティックに空間を駆け抜け、
星桜と輝木の二人をザクザクっとぶっ飛ばしていく。
「がはっ!」
「ぐふっ!」
強大かつピンポイントな衝撃が、
二人の全身を駆け巡る。
当たり前のように激しく吐血。
喉が焼けるように熱い。
頭がふらふらして、今にも気絶しそう。
『輝木&星桜が、イーにボコられている』
……そんな残虐的なシーンを、
ウルアと久剣の二人は、何もできずに黙って見ている事しか出来ない。
センエースがどうなったのか、本当に死んだのか……とか、色々と考えるべきことはあったが、とりあえず、直近で最も大事なことは、このイー・ト・ラーをどうするべきか。




