31話 世界一の美女である、この『タナカ・イス・レイナ』と一緒の時間を過ごせるとか、ほんまにラッキーやね、顔面偏差値ザコのおにーさん。
31話 世界一の美女である、この『タナカ・イス・レイナ』と一緒の時間を過ごせるとか、ほんまにラッキーやね、顔面偏差値ザコのおにーさん。
「あんたが強いんは認めるけど……今は、あたしの方が絶対に強いんやで? あたしがその気になれば、あんたを確実に殺せる。せやのに、恐怖とかないん?」
「死はまったく怖くない。恐れるのは、この変態性がやがて風化してしまわないか、ということだけだ」
などと、言葉を交わし合ってから、
数秒間だけにらみ合った両者。
何も合図などなかったが、
両者一斉に飛び出す。
空間をねじ伏せるようにして、
互いが互いの領域を奪い合う。
レイナの圧倒的な力を前に、
センは防戦一方。
センは、ドリームオーラ・オメガバスティオンで防御を固めつつ、
時折、ジャブの閃拳で、レイナの御機嫌をうかがっている。
その流れの中で気づいたのだが、どうやら、センの攻撃は一切通じていない印象。
そもそも、レイナの動きがはやすぎて当たらないし、
運よく拳が当たったとしても、なんだか、空気を殴っているみたい。
そんな応酬を数秒ほど経たところで、
センは、
(実際のところ、どうかは知らんが……俺の攻撃が無効化されている印象だな。さっき、あいつが、大量にインストールしていたスペシャルの影響か?)
などと、心の中でレイナを量る。
(……今のレイナは、総合的に考えて、べらぼうに強い……が、さっきよりぎこちなくなった気がする。さっきの関西弁を使っていなかったときの方が、うまく、体を使えていた印象……あくまでも印象論だが……)
といった感じで、冷静に、レイナの現状を分析していると、
そこで、レイナが、
フっと、鼻で笑いながら、
表情を、本来の女子中学生らしいソレに整えて、
「いやぁ、それにしても……世界一の美女である、この『タナカ・イス・レイナ』と一緒の時間を過ごせるとか、ほんまにラッキーやね、顔面偏差値ザコのおにーさん。あんたの人生の中で、今日が一番の宝物。破格の想い出を、思う存分かみしめて」
などと、じっくりコトコト煽ってきた。
その煽りに、マジで、そこそこイラついたセンは、
変態キャラをかなぐり捨てて、
「ここらで、本音を言っておくぞ、クソガキ。俺の好みは、心身共に成熟した清楚で優雅で気品あふれる強靱なヤマトナデシコだ。てめぇみたいな『未熟という概念の擬人化みたいなメスガキ』には一ミリたりとも心躍らないし、アンコールもわかねぇんだよ」
「無理しすぎ、きもっ。あたしの体を狙っとるんは、目を見ればわかる」
「まあ、ある意味、体を狙っているな。俺はお前の命を奪い取りたくて仕方ねぇから」
『中身のない言葉』と『ぎっしり身が詰まった武』の応酬。
互いに、中身のない言葉で、煽り合いながら、
濃密な死の気配が漂う時間を積み重ねていく。
そんな中で、だんだんと、センの堅牢さにイライラしはじめたレイナは、
「あんたと踊るんは、しんどいだけで、なんもおもろない。ここらで、本気で終わらせる」




