27話 これは、流石に、死ぬな、俺。出来る限りのことはするから……あとは任せたぜ、星桜。
27話 これは、流石に、死ぬな、俺。出来る限りのことはするから……あとは任せたぜ、星桜。
ほとんど強制的に、自力で、自分の可能性を切り開いていく。彼女の中で目覚めた可能性、それは、『サンスクリットアライブ』。一言で言えば『愛の奇跡』を現実にする力。愛の奇跡で、不可能を可能にしていくチート。
レイナは、『殺意も愛だろう?』と、自分自身に言い聞かせて、本来であれば、美しいはずの奇跡を、手前勝手な理屈で黒く塗り替えていく。
携帯ドラゴンの性能を最大限に活用し、
問答無用で、コスモゾーンの禁忌区域にアクセスし、
「これもいいな……これも……これも、もらっておこう……」
節操のない不正ダウンロードを繰り返していく。
その結果、レイナは手に入れる。
無数のチート。
ありえないスペシャルの山。
「デッドエンドカタストロフィ、インストール完了。
ディメンションゲンガー、インストール完了。
ジュリエット・ファイトスピリット、インストール完了。
真・無限転生IIIノクターンスパイラル、インストール完了。
ビーナスニルヴァーナ、インストール完了。
ウルズジョーカー、インストール完了」
『デッドエンドカタストロフィ』「追い込まれるほどに火力が爆裂に上昇」
『ディメンションゲンガー』「異次元同一体を制限なしで呼び出せる」
『ジュリエット・ファイトスピリット』「どんなに絶望的状況下においても闘志が無限に湧いてくる」
『真・無限転生IIIノクターンスパイラル』「死んでもその場で、強化された状態で転生する」
『ビーナスニルヴァーナ』「彼女より美しくないものは、彼女に傷一つつけられない。あと、激烈に運がよくなる」
『ウルズジョーカー』「常に、状態異常に対して、理論上最高の値を得る」
――大量のスペシャルを容赦なく奪い取ったレイナは、
「さあ、センエース、殺し合おう」
声は確かにレイナの声だが、
『七色の声を使い分けるベテランの声優』ぐらい、
トーンと質と雰囲気に変化が生じている。
イカつすぎて目もあてられないぐらいの『凶悪な怪物』に変身したレイナを見て、
センは、
「まったく……いろんなことが起こるなぁ、最近の俺の人生は。……いい加減、勘弁してほしいぜ。『吐き気がするほど平凡すぎる、あの退屈な日常を返して欲しい』……とは、流石に思わんけど、最近のあれやこれやは、ちぃとばかし、やりすぎだ。多少の刺激を求めていたことは認めるが……ここまでのナイトメアはさすがに所望していない。ジェットコースターなら、金出してでも乗りたいが、ヒモなしバンジーは10億積まれてもノーサンキュー。……はぁ……」
と、ダルダルの愚痴をこぼしてから、
グっと武を構え直し、
「これは、流石に、死ぬな、俺。出来る限りのことはするから……あとは任せたぜ、星桜」
そう言ってから、センは飛び出す。
空間を駆け抜けながら、センは、心の中で、
(……事前に、レイナ相手に、とことんふざけておいてよかった。レイナに対する、あの糞男ぶりをみれば、流石の輝木たちも、俺のことを見直して、『ああ、本当にやばいやつなんだ。死ねばいいのに』と思ってくれているはず)




