25話 心と体が、無駄に洗練された無駄のない無駄な流儀で一致していく。
25話 心と体が、無駄に洗練された無駄のない無駄な流儀で一致していく。
「どこまでも光を求めてさまよう旅人。ここは幾億の夜を越えて辿り着いた場所」
意味のないポエムで魂魄を補強していく。意味がないと思っているだけで、本当は、山ほど意味があるのかもしれない。
「さあ、詠おう。詠おうじゃないか。喝采はいらない。賛美も不要」
それでも、叫び続ける理由だけが、今のセンに必要な全部。
示し続けてきた覚悟だけが宝物。
たった一つの誇り。
「俺は、ただ、絶望を裂く一振りの剣であればいい」
グっと強く拳を握りしめる。
心と体が、無駄に洗練された無駄のない無駄な流儀で一致していく。
「俺はセンエース。孤高の狂気を背負い舞う閃光!!」
意味のないコールで、自分をきらめかせてから、
センは、
「――王乱・絶華・逆気閃拳っっ!!!!!」
激烈にイカれた拳をぶちこんでいく。
その一撃の重さに、レイナは、
「ぶっふぅうううう!!」
体の全部を逆さまにされて、振り回されたような……
そんな錯覚に陥る。
いや、錯覚じゃないのかも。
分からない。
どうでもいい。
それより、この眩暈と嘔吐をどうにかしてほしい。
「うぶっ、ぐはああっ!!」
つい、吐きだしてしまったトルネンプラと、その眷属たち。
それらを、センは、
「神速閃拳っっ!!」
サイコな子供がアリでも潰すみたいに、
無数の連打で、アウターゴッドとその眷属を、グッチャグチャに殺していく。
容赦もクソもない殺戮ショー。
覚悟が決まった時のセンは、稀代の殺人鬼が裸足で逃げ出す悪鬼の修羅。
トルネンプラさん家を、秒で、一族郎党皆殺しにしたセンは、
そのままの流れの中で、レイナの胸倉をつかみ上げ、
「イーなんとかも、吐きだせ……お腹壊すから、ペッしなさい、ペッ」
そう言いながら、ぐわんぐわんと、掴んだ胸倉を振り回す、無慈悲な閃光。
そんなセンに、
レイナは、
「ぐっ……うぅ、は、離せぇえええええ!!」
残っている力をフル動員させて、
センの腕から逃げ、多少の距離をとると、
「はぁ……はぁ……」
口元を拭いながら、センを睨み、
「殺す、殺す、殺すぅっ!」
イカれた目で、そう叫ぶ彼女に、
センは、彼女以上にイカれた目で、
「できねぇよ、てめぇじゃ。お前は俺より強いが、それがどうした。俺は俺より強い程度の雑魚に負けねぇ」
センエースのキレた覚悟を受けて、
そこで、レイナは、初めて、本物の宇宙的恐怖みたいなものを感じた。
センエースという狂気と、
イー・ト・ラーの猟奇。
二つの狭間で、揺れ動く魂魄。
狂気と憤怒と恐怖。
感情を揺さぶってくる大きな心の津波。
それがトリガーとなった。
レイナの中で、彼女の可能性が輝く。
「う、ぐうう……ううううぃいいいいっ!」
揺さぶられていく。
すべて。
心が形になって、心臓を追い越していく。
全てを躍動させるポンプ。
命が膨らんでいく。
臓の深部で、小さな光が、コツコツと燃える。
「……シュブ……ニグラス……ハート……」
しぼりだすように、口から吐き出した言葉。




