16話 嘘つきがエルシャ構文を使っている……これは、つまり、逆に、大丈夫ってことか? …………もう、わかんねぇな、これ……
16話 嘘つきがエルシャ構文を使っている……これは、つまり、逆に、大丈夫ってことか? …………もう、わかんねぇな、これ……
(ダメだ……『オメガバスティオンを覚えさせて、少しでも星桜たちの生存力を上げよう大作戦』は、始める前から暗礁に乗り上げた。正直、自分でも、どうやって、この技を使っているのか、いまいちわかっていないから、教えることができないっ。しゃーねぇ……なるべく死なないように頑張ってみて、どうしても死ななきゃいけないときは、俺の力の全部をヨグソードにこめて、セラに継承しよう)
と、心の中でつぶやいてから、意識を、『自分の中に刻まれているっぽいヨグ』に繋いで、
(……いいな、ヨグ。俺が死んだあとは、俺ではなく、星桜の武器として頑張ってくれ)
と、ヨグに『あとは任せた』をぶちかます。
そんなセンの投げっぱなしジャーマンに対し、ヨグが、
(わかった、任せろ)
と、ドンと胸を張って、そう言ったものだから、
センは、普通に不安になって、
(……その快諾……嘘じゃないよね? あまりにも、あっさりと引き受けられてしまうと……嘘っぽいなぁ、と思ってしまうんだけど、それは、俺の心がせまいだけ?)
(もちろんそうだとも。私を信じろ、センエース。私は嘘をついたことがない)
(……本当に? 本当に大丈夫?)
(大丈夫だ。問題ない)
(嘘つきがエルシャ構文を使っている……これは、つまり、逆に、大丈夫ってことか? …………もう、わかんねぇな、これ……)
センは、普通に溜息をつきつつ、
(……でも、もう、それしかないもんなぁ……『毘沙門天の剣翼に、ヨグソードごと俺の魂魄をぶちこむ』ってプランもなくはないけど……『ヨグソードをメイン』にした方が、総合力的には絶対に上なんだよなぁ……)
などと考えていると、ヨグが、
(神は言っている。ここで死ぬ運命ではない、と)
と、ダメ押しをしてきたので、
(なるべく、頑張ろう……ヨグに頼るのは、最後の最後の手段だ……)
と、新たな決意を固める羽目になりましたとさ。
めでたし、めでたし。
★
センがじっくりとプランを練っている間、
レイナは、ずっと、ギャラ〇ティカドーナツで拘束されていた。
どれだけ力を入れても、全然壊れてくれない。
あまりにも強固な拘束魔法に対し、レイナは、だんだん、
(ど、どういうこと? なんで? あたしの力は最強クラスなんとちゃうん? せやのに、この拘束、まったく、破壊できる気がせん……いったい、どういう……)
と、困惑している彼女に、
センはヒュイっと近づいて、
「よう、クソガキ。俺のギャラクティカ〇ーナツの味はどうだ。なかなかコクがあるだろう?」
「……」
レイナは、一度、ギリっと奥歯をかみしめてから、
無理に、ニっと笑みを浮かべて、
「女子中学生を強制的に拘束するとか、ほんまに終わっとる変態やな、ジブン」
決して屈しないというプライドを見せてくる彼女に、
センは、
「まさか、俺を、『この程度で完結する変態』だと思っていないだろうな? お前の地獄は、ここから始まる。世紀の凌辱ショーを、ぜひ、最後まで堪能してくれ」




