14話 『アイドルはウンコしない』みたいな妄想を押し付けられても挨拶に困る。俺だって、いつかは死ぬし、それが今日である可能性はゼロじゃない。
14話 『アイドルはウンコしない』みたいな妄想を押し付けられても挨拶に困る。俺だって、いつかは死ぬし、それが今日である可能性はゼロじゃない。
「くらえ! ギャラク〇ィカドーナツだ!」
などと供述しながら、センは、魔法のワッカをレイナに向けて放つ。その魔法のワッカは、目にも止まらぬ豪速でレイナを捕縛してみせた。
ギュっとワッカにしめつけられたレイナは、
「こ、こんなものっ!」
どうにか、腕力で粉砕しようとするが、
しかし、
「ぐぐ……な、なんや、これ……今のあたしは、世界最強クラスの力を持っとるはずやのに! 全然、千切られへんやん!」
レイナは、異空間で、ショデソウから『お前は最強クラスの資質を持っていて、携帯ドラゴンは、そんなお前の資質を引き出すトリガーたりうる』と言われている。
その上で、実際に、絶大な力を得たため、現状、彼女は、『自分こそが世界最強だ』と、めちゃくちゃシッカリとうぬぼれている。
センは、もがいているレイナから視線を外さず、
すべての挙動をロックオンしたまま、
心の中で、
(あのクソガキにかけられた呪いが、『星桜たちが持っていた呪い』と似た性質を持つものなら、『奪い取って飼いならす』ということも、できなくはないはず。……これ以上荷物が増えるのは、正直、勘弁してほしいところではあるが……まあ、それはしゃーねぇ。増えた分だけ、質量が増えると考えて、諦めるさ……)
と、前提をしたためてから、
続けて、
(……問題は、飼いならせなかった場合……その場合、俺は普通に死ぬことになる。そうなった場合……誰が、アウターゴッドから人類を守るか……)
そこで、センは、星桜に視線を向ける。
(これまで、散々、人類を背負ってきたあいつに、また任せるのは忍びないが……でも、まあ、正直、あいつが適任なんだよな。輝木も悪くないが……やっぱ、星桜の方が、総合力が高い)
などと心の中でつぶやきつつ、
諸々の覚悟等を固めると、
センは、星桜に、
「おい、星桜。俺が死んだときのために、お前に、オメガバスティオンを教えておく。この技が使えれば、生存力が一気にアップする。かなり難しい技だが、お前なら出来るだろう」
「センセーは死なないから、『死んだときのため』というのであれば、ボクが覚える必要ないっすね」
「そんな、『アイドルはウンコしない』みたいな妄想を押し付けられても挨拶に困る。俺だって、いつかは死ぬし、それが今日である可能性はゼロじゃない」
と、セン的には当たり前の前提を口にしてから、
「いいか、星桜。オメガバスティオンは、呼吸が大事になってくる。……こう……相手が技を使ってくるだろ? その時に、まず、一呼吸おいて、そして、ギュギュっと空間全体と調和するんだ。そして、ガガガっと、世界線の繊維みたいなものをほぐすイメージで、ビビギギっとセンセーショナルに縫い目をくいこませるんだ。……あとはわかるな?」
「ボクは、自分が天才だという自覚があるんすけど……さすがに、長嶋〇雄メソッドで技術を会得するのは無理ゲーでちゅねぇ」




