12話 冗談はもういいんだよ! マジでぇ! そろそろ殴るぞ! 極限状態の俺が、いつまでも、フェミニズム気取ると思うなよ!
12話 冗談はもういいんだよ! マジでぇ! そろそろ殴るぞ! 極限状態の俺が、いつまでも、フェミニズム気取ると思うなよ!
「小ボケはもういい! はやく――」
と、センが焦っていると、そこで、『バチバチバチッ!!』と、なかなか強烈な時空震が起こった。反射的に、センが、『強い反応がある方』に視線を向けると、なかなかイカついオーラを放っている時空の裂け目が出来ていた。
その時空の裂け目の向こうから、ヌっと、現れたのは、
――ムンビの首を掴んでいる、『龍の鎧に身を包んだレイナ』だった。
レイナは、ススっと目線を動かすだけで、周囲を見渡すと、
「……どうやら、約束どおり、元の場所に帰ってこられたみたいやな……」
と、小さくボソっとつぶやいてから、
ムンビの首をポイっとその辺に棄てると、
ギラっと、センの目を睨み、
「……おい、そこのキモい変態……あんたが、センエースやろ? 改めて考えると、変な名前やな。……何人やねん。絶対に、日本人の名前ちゃうやん。……まあ、どうでもええけど……とりあえず、今から、あたしの命のために、あんたを殺す」
と、堂々と宣言してみせてから、
右手に、バチバチっと、まがまがしいオーラをためはじめる。
そんな、大胆が過ぎるレイナを見つめつつ、
センは、眉間にガッツリとシワをよせて、
「えぇ……どういう状況?」
軽く片手で頭を抱えるセンに、
後ろから、星桜が、
「何がどうなったかは知らんすけど……あのアホが、マジの目ぇしとることだけは理解できるっすね。というわけで、センセー……しゃーないから、あのアホを殺そう」
「冗談はもういいんだよ! マジでぇ! そろそろ殴るぞ! 極限状態の俺が、いつまでも、フェミニズム気取ると思うなよ!」
「冗談や無いっすよ。だって、あのアホ、ほんまに、センセーのこと殺す気満々っぽいんすよ?」
「あきらか、騙されているか、操られているかのどっちかだろうが! 俺がキモいのは認めるが、流石に、会って間もない女子中学生に、ガチの殺意を抱かれるほどの――」
などと叫んでいると、
そんなセンと星桜の対話の終わりを見届けることなく、
レイナは、バッチバチにオーラをためた右手をセンに向けて、
「死ね、カス!! 異次元砲ぉおお!」
発射された異次元砲は、一直線に、センを消そうと襲い掛かった。
それを見て、センは、
「ちっ」
ダルそうにそう呟いてから、左手にヨグソードを顕現させ、
右手をスっと前に出し、レイナの異次元砲を片手で受け止めた。
貫通属性なので、防御力に関係なくダメージを受けていく。
ビリビリと痺れている右手を見つめつつ、
センは、レイナに、
「今の痛かった……痛かったぞぉおお!!!」
と、一旦、申し訳程度のファントムを入れていると、
レイナが訝しそうに、眉間にシワを刻んで、
「……ん? なんや? ただの変態ちゃうんか……鬱陶しいなぁ……」
ダルそうに溜息をついてから、
「あんたを殺さんと、あたしは死ぬんや。……そういう契約で、ショデソウから、携帯ドラゴンをもらったからなぁ。……あんたみたいな、見るからに頭悪そうで、顔も悪い、生粋の出来損ないよりも、天才で美少女のあたしが生き残る方がええ。あんたもそう思うやろ? そう思うんやったら、無駄な抵抗はやめて、おとなしく死んでくれや」




